心臓をはじめとした臓器に何らかの異常が生じ、血液を体内に正常に送り出せなくなることを心不全といいます。主な症状としては、ほんの少し動いただけでぐったりする、苦しそうに呼吸をする、咳が頻繁に出る、などが挙げられます。四肢にむくみが出ることもあり、爪や粘膜が青紫色になるチアノーゼも心不全の症状のひとつです。場合によっては肺に水が溜まる肺水腫を起こすこともあります。
こんな症状が出たら気をつけて
心不全が疑われる主な症状として以下のものが挙げられます。
・動きたがらない
・呼吸が荒い、呼吸が早い
・咳が頻繁に出る
・四肢がむくんでいる
・歯ぐきが青紫色になっている(チアノーゼ)
・腹水が溜まりお腹がふくれている
これらの症状が重複して現れたら、獣医師の診察を受けましょう。
原因
心臓は右心房、右心室、左心房、左心室といった4つの部屋からできています。
猫の場合、犬のように僧帽弁閉鎖不全症による心不全を起こすことは比較的少ないことが特徴です。心室を構成する筋肉が肥大する肥大型心筋症による心不全が多く見られます。肥大型心筋症を発症すると左心室の容量が少なくなるなどしてポンプ機能が落ちてしまいます。また心筋肥大から二次的に左心房が拡大してしまい、血栓ができやすくなります。
治療
超音波検査や心電図を用いて心臓の大きさや働きなどを確認し心不全と診断されたら、症状改善のため、血管拡張剤や利尿剤、強心剤などが投与されます。投与期間は症状によって差があり、短い通院で終わる場合もあれば、長期にわたる場合もあります。心臓疾患は重篤化しやすく、心臓発作を起こすなど命の危険にかかわる恐れもあるので、速やかな対応が必要になります。薬による内科的治療を行うと同時に、心臓に負担をかけないよう安静を心がけ、獣医師の指導のもと食事療法を行いましょう。
心臓以外の臓器疾患が原因で心不全を引き起こしている場合は、その治療を行い、心臓機能の回復を目指します。
予防
猫の心不全の原因はさまざまで、特定が難しいといわれています。確実な予防策が取れないのが現状ですが、肥満を防ぐための食事療法や適度な運動、さらにストレスを取り除くことで心臓への負担を軽減させることは可能です。
また、メインクーンとラグドールの2品種については肥大型心筋症になりやすいかどうかの遺伝子検査が可能です。これらの品種を自宅で出産させることを検討されているかたは一度調べておいてもよいでしょう。
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