食事や排泄など生命に直接関わる活動状態を知ることは病気の早期発見に大切なことですが、運動や睡眠などふだんの活動状態を把握することも実は非常に重要です。「最近寝てばかりいる」、「遊ばなくなった」など活動に起きるちょっとした変化が、病気を知る重要な手がかりとなります。ここでは、1日の活動の変化が知らせる病気のサインについて解説します。
猫の睡眠時間ってどれくらい?どうしてこんなに寝るの?
猫の睡眠時間は1日にトータルで12~16時間とされ、子猫やシニア猫はさらに長い傾向があり、20時間ほども寝ている場合もあります。しかし、人のようにずっと熟睡しているわけではなく、浅い眠りを細切れにとっているようです。
猫が長い時間休息を必要とするのには2つの理由があります。1つは、猫が真正の肉食獣であり雑食をまったくしないため、食事は獲物を捕らえるしかありません。毎日獲物にありつけるわけではないため、エネルギーを温存するために寝ていると考えられます。また猫の筋肉はジャンプ力や瞬発力に大変優れていますが、反面疲れやすいという弱点もあり、全力疾走後は動けなくなることも。筋力回復や疲労防止のためにも睡眠時間が長いと考えられています。
長い睡眠時間はイエロー信号
睡眠時間が16時間よりもずっと長くなるということは、病気や痛みで休息が必要になっていることを表します。子猫だから、老化だから、などと見過ごされがちですが、食事以外に起きてこないなど、明らかに寝てばかりいる場合は、獣医師に相談しましょう。睡眠時間があまりにも長い(おとなしく、動かない)場合は、循環器や呼吸器の問題や、甲状腺機能低下症など内分泌の病気が考えられます。子猫の場合、上皮小体亢進症(腰椎の奇形)、老猫の場合は腎疾患による脱水だったというケースもあります。
「眠れていなさそう」も気をつけて
関節炎など痛みを伴う病気では、反対に夜の睡眠時間が減ることもあります。なかなか熟睡できず、ずっともぞもぞしているようなときは、どこか痛みがあるかもしれません。その場合、日中の活動量も減っている可能性もありますので、注意して観察しましょう。このような状態が続くようであれば病院を受診するようにしてください。
活動時間や活動量を把握することが大切
寝てばかりいる、ということを裏返すと、活発に活動している時間が少なくなったということでもあります。特に猫は犬と違って定期的な散歩をしないために、飼い主が異常に気づきにくいこともあります。ご飯の時間、遊んでいる時間といった活動時間を意識して把握することが大切です。
猫の活動時間の特徴
飼い主の日々の生活サイクルに合わせて、行動パターンは異なることがありますが、特別な事情がない限り、その猫の1日のトータルの活動量は基本的に変わりません(個体差はあります)。ご飯の時間や遊びの時間は活動時間にカウントされ、毛づくろいの時間も含まれます。また、犬と違って遊んでいるときにジャンプなど上下運動の動きが加わることも猫の特徴と言えるでしょう。
以下の図は、猫の1日の活動量の変化を測定し記録したものです。睡眠やお昼寝を断続的にとり、明け方、夕方に活発に遊んでいます。2歳と8歳の猫とを比べると、活動パターンは似ていても、高齢になってくるとジャンプ数が減るなど活動量が減少していることが分かります。年齢差や個体差、多頭飼いなど、飼育環境による差があるため、日々の状態を継続して測定し、その猫のいつもの活動量や行動パターンを把握する必要があります。
※データ出典:日本動物高度医療センター JARMeC
活動量が明らかに減ったときは
活動量の減少(多くの場合、睡眠時間も同時に減少します)には多くの原因が考えられますが、発熱、下痢、脱水などを起こしていたり、ケガをしていたりする可能性があります。活発さがなくなったと感じたときは、これらの症状がないか確かめ、動物病院を受診してください。
日々の様子の変化から分かる病気のサイン
活動量を把握すると同時に、日々の活動の質(様子)を知ることも、病気のサインを見逃さないコツです。猫の様子がいつもと違うときは注意が必要と考えましょう。
観察ポイント
□ 歩くときにふらつく/びっこを引く
□ しょっちゅう頭を振る
□ 動きたがらない/動きがぎこちない
□ 鳴き方がいつもと違う
□ 呼んでも無反応
実は病気だった事例
<例1:最近急に夜鳴きをするようになった>
猫は夜によく鳴く動物ですが、ふだんあまりしなかったのに毎日長時間鳴くようになったときは注意が必要です。このような場合、甲状腺機能亢進症が疑われ、他に多飲・多食、活発すぎる(寝ない)、痩せてきたなどの症状がないか確認したうえで、獣医師の診察を受けてください。
<例2:ずっとゴロゴロのどを鳴らしている>
ゴロゴロしているのはご機嫌な証拠と思いがちですが、実は具合が悪くても猫はのどを鳴らします。特に甘えているわけでもないのに、寝ているときに延々とゴロゴロ言っているようであれば、体調が悪いのかもしれません。発熱していないか、どこか痛がっていないかを確認し、獣医師に相談してください。
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☞例えば、下記のような「猫の行動」から、
□ 足をあげる
□ 歩かない
□ ふらつく
□ 性格が変わる