猫

 

 

動物病院でうちの子に処方されたお薬について、そのお薬がどんな効能や役割を発揮し、どんな副作用やリスクがあるのか、詳しく知りたいと思ったことはありませんか?そんなときは遠慮なく診察された動物病院の先生に直接お尋ねになるのが一番です。質問をするほどではないけど、どんな薬か知っておきたい、そんな方ににゃんペディアの「動物病院で処方されたお薬ガイド」シリーズをお届けします。現役の獣医師・福永めぐみ先生が、一般的に処方されるお薬について、わかりやすく紹介します。初回はよくある「下痢」のときに処方される薬の解説です。

 

 

下痢の原因によって処方されるお薬は異なる

「下痢」の症状で動物病院を来院するネコちゃんはとても多く、猫全体の保険金請求件数の1位となるほどよく見られる症状(※)です。(※アイペット損保「保険金請求が多い傷病ランキング」

 

ネコちゃんが下痢を起こす原因は非常に多岐にわたります。

すぐに改善する下痢も少なくありませんが、中にはしっかりと治療をしなければならない病気が潜んでいるケースもあります。そのため、ネコちゃんが下痢をした際は、動物病院でからだの状態や下痢の原因を検査してもらいましょう。下痢しているときに考えられる病気については、「うちの子おうちの医療事典」の症状検索「下痢」をご覧ください。

 

下痢は、原因によって処方されるお薬も異なります。例えば

●寄生虫などの感染症により下痢を起こしている場合には「駆虫薬」が、

●炎症性腸疾患などの場合には「ステロイドのお薬」

が処方されるなど、お薬の種類も様々です。

ここでは一般的な下痢(急性腸炎)でよく処方されるお薬を中心に、解説します。

 

下痢を止める薬

止瀉薬(ししゃやく)

下痢を止めるお薬です。

感染症以外の原因で下痢をしているときに、処方されることがあります。

タンニン酸ベルベリンや次硝酸ビスマスなどの有効成分がいくつか配合されているものが多く、胃腸の粘膜の炎症を抑えたり、腸のびらんや潰瘍を保護したり、ガス刺激による腸の過剰な運動を抑えたりする作用があります。

1日2回で飲ませる薬が多く、朝晩のごはんと一緒に与えたり、錠剤が苦手な子はすり鉢などで潰して水や缶詰に混ぜて与えるとよいでしょう。

 

ディアバスター錠

 

使用上の注意

・止瀉薬を与えることで症状が悪化してしまう場合があります。例えば、細菌やウイルス、寄生虫などの感染症による下痢には止瀉薬は逆効果です。下痢によって体内にいる菌やウイルスを排出しようとしているのの妨げとなります。

・次硝酸ビスマスを含む止瀉薬を飲むことで、便が黒くなることがあります。

 

よく処方される止瀉薬:ディアバスター錠(共立製薬) 

 

お腹の調子を整える整腸剤と、動物病院で処方される健康補助食品

整腸剤

乳酸菌などにより、おなかの調子を整えるお薬です。

下痢をしている猫では悪玉菌が増え、腸内フローラ(腸内細菌叢)が乱れてしまっていることがあります。整腸剤は善玉菌をしっかり働かせ、腸内フローラを整えることで、下痢や軟便を改善します。

また、パンクレアチンなどの消化酵素を含むものは、胃や腸での食べ物の消化を助けます。

1日1〜2回で飲ませるものが多く、ごはんと一緒に与えたり、錠剤をすり潰して水や缶詰に混ぜて与えるとよいでしょう。

 

ビオイムバスター錠

 

マイトマックススーパー

 

使用上の注意

抗生剤と一緒に飲ませることで、整腸剤の効果が弱まってしまうことがあります。

 

よく処方される整腸剤:ビオイムバスター錠(共立製薬)マイトマックススーパー(共立製薬)

 

※マイトマックススーパーは、生きたまま腸まで届く乳酸菌を配合した整腸剤で、抗生剤と一緒に飲ませても十分な量の乳酸菌が腸に届くことが確認されている動物用健康補助食品です。

カプセルタイプですが、カプセルを開けて中の粉剤をフードにまぶして与えることも可能です。

 

細菌や原虫の感染に効果のある薬

抗生剤

糞便検査で細菌や原虫の感染が認められた場合には、それに応じた抗生剤が処方されます。

カンピロバクターやクロストリジウムなどの細菌に汚染されたものを食べてしまったり、ジアルジアやトリコモナスなどの原虫に感染してしまったときには、腸炎をおこして下痢や嘔吐をすることがあります。急性の下痢で、特に鮮血が混ざったような血便が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。成猫では感染していても症状が出ないケースも少なくありませんが、体力や免疫力の低い子猫や、基礎疾患のある猫では発症しやすいです。特に食べ物が傷みやすい高温多湿の時期や、シンク・ゴミ箱内の食べ残しの盗食、多頭飼育の環境下では注意しましょう。

 

原虫(ジアルジア・トリコモナス)に対する抗生剤

メトロニダゾール 製品名:フラジール(塩野義製薬)

 

原虫や一部の細菌に効果がある抗生剤です。1日2回、食事と一緒に与えます。独特の苦味があり、砕いたりすり潰したりすることで苦味を強く感じてしまう場合があります。そのため処方された錠剤は砕かず、ふやかしたフードや投薬補助用のトリーツなどに包むと与えやすいです。

 

使用上の注意

・高容量や長期的に投与した場合の副作用として、前庭障害(平衡感覚を失い、めまいを起こしたり首が傾いてしまう状態)を起こすことが知られています。

・メトロニダゾールで効果がみられない場合には、他の抗原虫薬への変更が必要です。

 

クロストリジウムに対する抗生剤

アモキシシリン 製品名:アモキクリア(共立製薬)

 

ペニシリン系の抗生物質です。1日2回、食事と一緒に与えます。

アモキクリアは真ん中に切れ目が入った円形の錠剤で、おうちでも簡単に割ることができます。また、嗜好性が高いので、猫ちゃんでも比較的飲んでくれる子が多いお薬です。

 

アモキクリア

 

使用上の注意

・魚由来ペプチドをしようしているため、魚アレルギーがある子には注意が必要です

 

 

カンピロバクターに対する抗生剤

エンロフロキサシン 製品名:バイトリル(エランコジャパン)

 

幅広い細菌に効果のあるフルオロキノロン系の抗生物質です。

1日1回の投薬で効果を発揮し、嗜好性の高いフレーバー錠(ビーフ味)もあります。

 

バイトリル

 

使用上の注意

・テオフィリンや非ステロイド性消炎鎮痛薬など、一部のお薬で飲み合わせに注意が必要な場合があります。

・猫では視覚障害がみられた報告があるため、異常を感じたらすぐに投薬を中止し、動物病院に相談してください。

 

下痢の薬の与え方の注意点

猫が下痢をしている時には、これらの薬が単剤もしくは複数組み合わせて処方されることが多いです。また、下痢の原因によっては、駆虫薬や免疫抑制剤などが併せて処方されたり、療法食が処方される場合もあります。

 

これらの薬が処方されたら、お薬のみで飲ませるか、普段食べ慣れているフードや缶詰と一緒に与えると良いでしょう。美味しいもの(パン、ソーセージなど)に包んでしまうと、それらが下痢を悪化させてしまう場合もあるので、気をつけましょう。

 

「下痢」のときに考えられる病気を「うちの子おうちの医療事典」で調べる

「下痢」をしているときに考えられる病気を「うちの子おうちの医療事典」の解説で、予防・原因・治療方法などを調べてみましょう。

 

 

下痢の他にも、例えばこんなキーワードから、さまざまな病気やケガを知ることが出来ます。

元気がない ■ぐったりしている ■歩きたがらない ■食欲がない ■食べ過ぎる ■太った ■痩せた

 

 

 

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福永めぐみ先生

福永 めぐみ

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