年齢を重ねるごとに、猫ちゃんが食べる量は減っていきます。若い時に比べて代謝が低下するため、あまり多くのエネルギーを必要としなくなるからです。また、歯が弱ったり抜けたりして、固いものが食べられなくなることもあります。老猫期の猫ちゃんを自宅で介護する場合、何より気を配りたいもののひとつに食事があります。少しでも長く美味しく食事をしてもらうため、猫ちゃんの体調や病状に合わせた食べ方を考えていきましょう。
食べやすさを第一に!
どんなに栄養価の高い食事を用意しても、食べにくいようでは無駄になってしまいます。老猫であればなおさら口にしないでしょう。食べやすさを第一に考え、フードそのものに手を加えていきます。ドライフードが好きな猫であれば、細かく砕いてあげますが、それでも食べにくそうにしていたら、さらにお湯でふやかしたり、ペースト状にすりつぶしたりして柔らかくしてあげましょう。もちろんウエットタイプのフードに切り替えてもOKです。
フードを温めると匂いが増すので嗜好性が高まり、猫が食欲をなくした際にはおすすめです。味付けをする前の鶏ガラスープをかけてあげるのも◎。肉の匂いが食欲を刺激します。かつおぶしや猫用ふりかけで風味をつけるのも効果的な方法です。また、老猫期に入ると足腰が弱り、食器に顔を近づけるのが辛くなります。フード皿は高めの台に置くなどして、猫が体をかがめなくても食事ができるような工夫をしましょう。
必要な栄養素をバランスよく
老猫になると消化吸収力が弱くなっていきます。消化が良い食事を食べさせてあげたいものですが、同時に心がけたいのが、老猫に必要な栄養素が十分に含まれているかどうかということ。市販のフードには「老猫用」「シニア用」など、老猫期に入った猫用のフードも市販されていますので、そうしたものを食べさせるのもいいでしょう。
ただし気をつけてほしいのは、肥満にならないようにすること。運動量の少ない老猫が栄養価の高いフードを食べ過ぎると、肥満につながる恐れがあります。また、脳や神経の衰えから、食べる量をコントロールできなくなってしまい、際限なく食べてしまう場合もありますので、飼い主さんが適量をきちんと把握し、食べさせてあげることが必要です。
ご飯を食べなくなったら…
猫も病気になれば食欲が落ちてしまいますし、そもそも食事をするのも億劫になってしまいます。フード皿に食事を入れても関心を示さなくなったら、スプーンや手から直接口に運んであげましょう。それも咀嚼(そしゃく)できないようであれば、獣医師と相談の上、流動食に切り替えてみましょう。流動食はスポイトなどを使い直接口の中に入れてあげます。体重1kgあたり10ml以下を目安に、1日2〜3回あげます。ただし終末期に入った猫の場合は、体重1kgあたり5mlぐらいを目安にしてください。その際、急に流し込むと流動食が気管に入ってしまう恐れがありますので、ゆっくり少しずつ入れてあげましょう。
水分補給も忘れずに!
食事と同じぐらい大切なのが水分補給です。特に老猫の場合、腎臓機能が衰えてきますので、飲水量が少ないと脱水症状を起こしやすくなります。猫が水を飲みたい時すぐに口にできるよう、水を入れた容器を部屋のあちこちに置くようにしましょう。水はすぐに汚れてしまいますので、こまめに交換し常に新鮮なものを置いてください。水道から出してすぐの水や、冷蔵庫で冷やした水より少し時間を置いた水のほうが猫は飲みやすいようです。
どうしても水を飲んでくれないようであれば、点滴で水分補給をしなければいけません。点滴には皮下点滴と静脈点滴の2つの方法があります。静脈点滴は病院で行いますが、皮下点滴は自宅で行うことができます。皮膚の下に水分を送り全身に行き渡らせる方法ですが、必ず獣医師の指導のもと行うようにしてください。
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