「ギャー!うちの子がゴキブリを食べちゃった!」 「クモをパクッと…これって大丈夫ですか!?」
ご自宅やお庭などで、ネコちゃんが突然虫を食べてしまい、びっくりしてご相談に来られる飼い主さんが時折いらっしゃいます。

 

今回は、ネコが虫を食べてしまった際の対処法や、病院に連れて行くべきケースについて解説します。

 

「食べちゃった!」とご相談が寄せられがちな虫たち

飼い主さんからよくお問合せがあるのは、以下のような虫たちです。

・クモ:家の中によくいる小さなクモから、庭にいる少し大きめのクモまで。

・ハエ:飛んでいるハエを追いかけて捕まえてしまうパターンが多いです。

・蛾(ガ):夜間、明かりに集まってきた蛾を捕食してしまうことがあります。

 

基本的には「様子見で問題ない」ケースがほとんどです。

 

ほとんどの場合、猫が少量の虫を食べただけで重篤な症状が出ることは稀です。

多くの場合、消化器官で分解されるか、そのまま排出されます。

とくに、上記のような一般的な虫であれば、消化不良を起こすこともあまりありません。

 

<こんな場合はご自宅で様子を見てみてください>

・食べた虫が上記の一般的な虫で、少量である。

・食べた後も、食欲があり、元気な様子である。

・嘔吐や下痢などの症状が見られない。

 

 

 

「注意が必要」なケースとは?

ただし、中には注意が必要なケースもあります。以下のような場合は、食べた虫の種類や量、その後の様子をよく観察し、必要であれば動物病院に連絡しましょう。

 

● 殺虫剤に触れた虫を食べた可能性がある場合

殺虫剤が付着した虫を食べてしまうと、殺虫剤の成分によって中毒症状を起こす可能性があります。食べた虫が死んでいたり、動きがおかしかったりした場合は要注意です。

 

● 大量の虫を食べた場合

稀ではありますが、特定の種類の虫を大量に食べてしまった場合、消化不良やアレルギー反応を起こす可能性もゼロではありません。

 

● 毒性のある虫を食べた可能性がある場合

地域によっては、毒性を持つクモ(セアカゴケグモなど)や毒蛾などが生息しています。

このような虫を食べてしまった場合は、速やかに動物病院に連絡してください。

 

食べた後に以下のような体調の変化が見られる場合には、動物病院で相談しましょう。

◦ 嘔吐や下痢が続く:消化不良やアレルギー反応の可能性があります。

◦ 元気がない、ぐったりしている:中毒症状の可能性も考えられます。

◦ 口の周りを痒がる、顔が腫れる:アレルギー反応を起こしている可能性があります。

◦ 痙攣や意識の混濁:緊急性が高い中毒症状です。

 

 

 

とくに注意するべき虫の種類

ヒアリ

・猛毒を持つ危険外来生物です。食べる過程で刺されてしまうと、火傷のような強い痛みを引き起こしたり、アナフィラキシーショックを起こすなど命を脅かす危険性があります。

ゴキブリ

・ゴキブリ自体には毒性はありませんが、ピレスロイドなどの殺虫剤が付着している場合には嘔吐や下痢などの中毒症状を呈したり、ホウ酸を摂取したり付着したゴキブリを食べてしまった場合には命を脅かす危険性があります。

毛虫

・蛾の幼虫の毒に触れると、皮膚炎や嘔吐などを起こす危険性があります。踏んでしまうのも危険です。

ハチ

・食べる過程で刺されると、アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。

アブ

・刺された部位が強く腫れて炎症を起こす可能性があります。

ムカデ

・刺された場合、傷口の腫れや激しい痛みを引き起こす可能性があります。

 

猫の健康に害を及ぼす危険性のある虫にはとくに注意をし、見つけたらすぐにその場からすぐに離れるか、駆除しましょう。

 

家の中で見つけた場合、殺虫剤は猫が舐めたりしてしまうと健康に良くありません。

 

猫が生活する空間での殺虫剤の使用は極力控え、窓を開けて追い出したり、虫取り網などで捕まえて家の外に出すなどで対応しましょう。

 

 

 

「治療が必要」になるケース

上記のような注意が必要なケースのうち、中毒症状やアレルギー反応が出ている場合は、原因や症状に応じた速やかな治療が必要になります。

アナフィラキシーショックの場合:ショックに対する速やかな治療が必要です。

中毒症状の場合:解毒剤の投与、点滴、胃洗浄など、原因物質や症状に応じた治療が行われます。

・アレルギー反応の場合:抗ヒスタミン剤やステロイド剤の投与などが行われます。

・重度の消化器症状の場合:吐き気止めや整腸剤の投与、点滴治療などが行われます。

 

予防策:虫を寄せ付けない環境をつくる

室内においてはまず虫が入ってこないように戸締りをしっかりする、窓を開ける際は必ず網戸にする、生ゴミなどを放置しないなど、家の中を清潔な状態に保つようにしましょう。

また、屋外には蜂やアブなど危険な虫も多くいます。十分に注意しましょう。

愛猫を庭に出す時には、ペット用の蚊取り線香や虫よけスプレーなどの活用も有効です。

虫の多い草むらなどは避けて、猫から目を離さないようにしましょう。

 

 

もしも愛猫が虫を食べてしまったら…

1. 落ち着いて状況を確認する

どんな虫を、どのくらい食べたのか、殺虫剤の影響がないかなどを確認しましょう。

2. 猫の様子をよく観察する

食べた直後だけでなく、数時間~翌日まで、食欲や元気、排泄の様子、体の痒みなどを注意深く観察してください。

3. 異変があれば動物病院に連絡する

心配なことや体調の変化が見られた場合は、迷わずかかりつけの動物病院に相談しましょう。その際、食べた虫の種類や、食べた後の様子を具体的に伝えられると診断の助けになります。

 

 

最後に

猫にとって、虫は遊び相手であり、時に獲物でもあります。

完全に虫との接触を避けることは難しいですが、ご家庭での適切な対策(殺虫剤の使用を控える、家屋の隙間をなくすなど)は非常に大切です。

もし「食べちゃった!」と焦ってしまっても、まずは落ち着いて様子を見てあげてください。

少しでも気になる症状があれば、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

 

 

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福永めぐみ先生

福永 めぐみ

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