「子猫の口からポロッと歯がこぼれ落ちた」「床に白くて硬いものが落ちていた」。そんな経験をしたことはありませんか?それは、猫の歯が抜けた、または折れたのかもしれません。なぜ、猫の歯が抜けたり、折れたりするのか、原因と対処法を紹介します。
子猫の場合は、乳歯から永久歯への生え変わりで歯が抜ける
猫を生後半年未満から飼い始める場合は、口の中をよく見て、乳歯が生え揃っているか、抜けている歯はないか、永久歯に生え変わっているところはないかをチェックしておきましょう。
猫には歯が何本あるの?
猫の歯には、人間と同様、乳歯と永久歯があり、成長段階で生え変わります。猫の乳歯は、犬歯、切歯、前臼歯の上下合わせて26本。後臼歯はありません。永久歯に生え変わるときに後臼歯が生え、上下30本になります。
生え変わりは生後11週齢〜25週齢が目安
乳歯が生えるのは、生後3週間くらいからで、だいたい生後2ヵ月くらいまでに上下が生え揃います。その後、乳歯が抜け始めるのは、生後3ヵ月くらいから。個体差はありますが、だいたい生後6ヵ月くらいまでに全ての乳歯が抜けて、永久歯が生え揃います。
抜けた乳歯を飲み込んでしまっても大丈夫?
乳歯は生え変わりの時期になると、グラグラしてきて、自然と抜けてしまいます。愛猫の歯がぐらついていることに気づかないうちに、ある日、床に落ちている小さな歯を見つけてびっくりする飼い主さんも多いようです。また、猫は抜けた歯を飲み込んでしまうこともありますが、とくに心配はありません。
乳歯が抜けずに残ってしまうことはあるの?
犬の場合は、「乳歯遺残(にゅうしいざん)」と言って、永久歯が生える時期になっても、乳歯が残ってしまうことがあります。トラブルを引き起こす原因になるので治療が必要になりますが、猫には「乳歯遺残」はまずないので、心配ありません。
乳歯が生えたら歯磨きは必要
人間の赤ちゃんに乳歯が生え始めたら歯磨きを始めるように、猫の場合も乳歯が生え始めたら歯磨きのトレーニングを開始するタイミングです。永久歯が生え揃う頃までには、歯ブラシによる歯磨きが習慣になるようにしましょう。
成猫の歯が抜けることはあるの?歯が折れることはあるの?
永久歯に生え変わってから、健康な猫の歯が抜けることはありません。もし成猫の歯が抜けたら、何か歯の病気にかかっている可能性があるので、獣医師の診察を受けましょう。
歯周病が進行すると歯が抜ける
成猫の歯が抜ける原因として、まず考えられるのが歯周病です。歯が抜けるほど進行した歯周病は、細菌が体のほかの臓器に悪影響を及ぼしている可能性も考えられます。すぐにかかりつけの動物病院で、歯と全身のチェックをしてもらいましょう。
ぐらついた歯を安易に抜くのは禁物
愛猫の歯がぐらついているのを見つけたら、そのまま放置しないで、獣医師の診察を受けましょう。飼い主さんが、ぐらついた歯を安易に抜くのは禁物です。膿んだりする危険が伴います。猫の歯はとても小さくデリケートなので、抜歯は全身麻酔のもとで慎重に行いましょう。
歯が折れた場合はすぐに獣医師の診察を
犬は、硬い食べ物やおもちゃをかじったことで歯が折れることがありますが、猫の場合は、食べ物やおもちゃで歯を折ることはまずないでしょう。猫の歯が折れる原因のほとんどは、外傷によるものです。高いところから飛び降りて口を打った、交通事故で顔に怪我をしたなど、外からの圧力で犬歯などが折れることがあります。もし、歯が折れたら、そのまま放置せず、すぐ病院に連れて行きましょう。歯が折れたり欠けたりすることで、露出した歯髄(しずい)などから細菌が歯の奥に入り、血流に乗って全身に菌が回る危険性があります。必ず獣医師の診察を受け、適切な処置を行ってください。
歯は愛猫の健康を左右する大事なものです。子猫のときから口の中をよく見る習慣をつけ、小さな変化も見逃さないようにしておきたいものです。もし異常を見つけたら、動物病院で相談してみましょう。
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