犬糸状虫症は蚊を媒介として感染する病気で、発生数はあまり多くありませんが、猫も犬と同様に感染します。
猫なのに犬糸状虫症とは、なんだかややこしいですね。

原因になるのは犬と同じフィラリア(Dirofilaria immitis)という寄生虫ですが、犬の場合と異なる点がいくつかあります。

 

フィラリアの成虫が小さい

寄生する成虫の数が少ない

虫体の寿命が短い

赤ちゃん(幼虫1)が生まれにくい

異所性寄生(脳・目・皮下などへの寄生)のリスクが高い

 

フィラリアの発育にとって、猫の体内はあまり良い環境ではなさそうですね。幼虫1が成虫になれる確率はわずか約1~25%です。犬では40~90%です。また、成虫になれたとしても虫体は小さく、幼虫もあまり増やせません。

こんな症状が出たら気をつけて

心臓と肺をつなぐ肺動脈という血管に寄生するのは犬と同様ですが、猫の体内ではフィラリアが道に迷って脳や目、皮膚の下などに迷い込んで寄生してしまうこともあります。

その症状も犬の場合と少し異なります。

急性症状 慢性症状
突然死 呼吸困難、咳
虚脱、ショック 嗜眠(よく眠る)
喀血、嘔吐 虚脱
呼吸困難、咳 心不全
盲目 食欲不振、嘔吐
痙攣、昏睡、失神
運動失調、旋回運動

診療方法

検査キットや超音波検査などで寄生の有無を診断しますが、検査キットに反応しないこともあります。

フィラリアの駆虫(薬を使った治療)

成虫の駆虫:通常猫では推奨されません。
幼虫 (ミクロフィラリア)の駆虫:通常あまり生まれてこない為、治療は一般的ではありません。

自然治癒

虫体の寿命が2年と短いので、合併症に対する治療を実施しながら自然治癒を待つのが効果的ともいわれています。

 

治療・診療費はいくらぐらい?

猫が咳をし、元気、食欲がないため受診したケースです。犬糸状虫症を疑い、検査・処置を行いました。
診療項目 単価 数量 金額
再診料 ¥500 1 ¥500
血液検査
(ミクロフィラリア検査含む)
¥8,000 1 ¥8,000
抗原検査(外注) ¥2,500 1 ¥2,500
レントゲン検査 ¥3,500 1 ¥3,500
エコー検査 ¥3,500 1 ¥3,500
皮下注射 ¥1,500 1 ¥1,500
内用薬 ¥700 2 ¥1,400
合計 ¥20,900

この診療明細書はアイペット損保の支払いデータから作成した診療費の参考例となります。したがって、診療費用・内容の平均・水準を示すものではありません。

予防

月に1回、フィラリア予防薬の内服もしくは塗布をします。

最近では猫ちゃんに予防をする飼い主さんもふえてきました。
安全に使用できる予防薬がありますので、興味がある方はかかりつけの動物病院に相談してみてください。

 

年齢や季節、猫種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

『うちの子おうちの医療事典』で「フィラリア症(犬糸状虫症)」を調べる

 

にゃんペディア編集部からのメールマガジン配信中!

「にゃんペディア編集部」では、愛猫との暮らしに役立つお勧め記事や、アイペット損保からの最新情報を、にゃんペディア編集部からのメールマガジン(月1回第3木曜日夕方配信予定)でお知らせしています。ご希望の方はこちらからご登録ください。

Anicli24 院長

三宅 亜希

詳細はこちら

関連記事

related article