高温多湿の国・日本で暮らす私たちは、お風呂好き。そしてシャンプーは毎日したいと思いますよね。では猫ちゃんたちも、毎日お風呂に入れてあげてシャンプーをする必要があるのでしょうか?
一般的に、お風呂やシャンプーを嫌う猫ちゃんは多く、シャンプーしようとしたら「シャーッ!」と抵抗され、大暴れされて散々な目に遭った、という飼い主さんもいます。でもシャンプーしないと汚れちゃうかも? じゃあどうやってシャンプーしたらいいの? 猫ちゃんのシャンプーによるお手入れについて、考えてみます。
猫は水が大嫌い?
元来、野生の猫や野良猫はあまり水を浴びることを好みません。その理由としては猫の祖先といわれるリビアヤマ猫は砂漠出身であり、水が極端に少ない地域において、水浴びの習慣がなかったということが考えられます。
また、猫の毛は、犬と比べると
毛に脂分が少ないので、水をはじきにくい
という特徴があります。そのため毛がぬれやすいのです。そして体には
やわらかい毛が密集して生えているので、一度ぬれると、今度は乾きにくい。
ぬれやすく乾きにくいということは、突然水を浴びたりすると、
体が急激に冷え込み体力の低下を招いてしまう
ことにつながり、猫にとっては死活問題です。これが水、ひいてはシャンプーやお風呂を猫が嫌う理由といわれています。
お風呂に入らなくても生きていける?
猫は日ごろから毛づくろいを欠かさない清潔好きな動物です。短毛種の猫の場合、室内飼育であればひどく汚れるということもないため、自身の毛づくろいと飼い主さんによる定期的なブラッシングで充分清潔さを保てるといわれています。
一方、
長毛種の猫の多くは毛が密に生えているので、短毛種に比べると毛が絡みやすく、汚れがたまりやすい傾向
にあります。また年をとった猫はお手入れが行き届かなくなる箇所が出てきます。まずは、ブラッシングをこまめに行い、毛のもつれをほぐしながら汚れを除いてあげるようにすることで、かなり解消します。
基本的に水を苦手とするのが猫。そして
聴覚が敏感なので、シャワー音やドライヤー音を怖がる
ともいわれています。嫌がる猫を無理にお風呂に入れてシャンプーするのはかなり大変なことです。もし気になる汚れを見つけたら、
蒸しタオルでやさしくふいてあげる
ところから始めてみましょう。
ペルシャや長毛のスコティッシュ・フォールドなど、
長毛種かつ短頭種の猫は、自身の毛づくろいだけではどうしても不十分
な部分があるので、できればシャンプーをして皮膚の健康を保ってあげたいところです。また、どうしても汚れや臭いが気になるのでシャンプーしたいという飼い主さんもいることでしょう。その場合は、少しずつ水に慣らしながら、シャンプーに進めるようにしてください。最近はフォーム状やパウダー状になった「ドライシャンプー」も市販されています。徹底して嫌がる猫には、こうしたシャンプーを使用してケアしてあげてもよいかもしれません。トリマーなどシャンプーに慣れたプロに任せるのも一つの手です。
※「ドライシャンプー」は洗い流さないため、成分が少なからず毛に付着し、それを猫がなめることによって体内にとりこまれてしまいます。選ぶ際は、原料の安全性を充分にチェックしてあげてくださいね。
シャンプー前のチェックポイント
■ 食欲はありますか?
■ 熱はありませんか?
■ 猫と人の爪は切ってありますか?
■ 扉や窓は閉まっていますか?
■ 猫用シャンプーが準備されていますか?
水しぶきにドライヤーの音など、猫にとってシャンプーは、大なり小なりストレスを与えてしまうもの。猫の体調が万全なときにおこなうことが大切です。水をかけるとパニックになって暴れる猫もいるので、
飼い主さん、猫の双方が爪を切っておく
こと、
脱走防止のために扉や窓を必ず閉めておく
といったことは事前にきちんと確認しておきましょう。
また、人と猫では皮膚のpH(ペーハー)が違い、人間用のものを使うと皮膚炎になってしまうことも。必ず猫専用のシャンプーを用意してください。
シャンプーの方法
準備するもの
猫用シャンプー、リンス(※リンスインシャンプーでもよい)、バスタオル2枚、やわらかい布、ドライヤー、猫用のバスタブか、たらい
何はともあれブラッシング
シャンプー前には必ずブラッシングをして、毛のもつれや毛玉をほぐします。毛玉が残ったまま濡らすと、固まってしまい、ほぐれなくなります。ブラッシングで猫をリラックスさせる効果も。
お湯をかけてぬらす
いきなり水しぶきを猫に浴びせるのは厳禁。
人肌程度のぬるめのお湯で、顔のまわりを避けて猫の体を少しずつ
ぬらします。
シャワーヘッドを猫にできるだけ近づけて、少なめの水量で
ぬらしてあげると、あまり猫を驚かせずにぬらすことができます。水圧の調節がうまくできない場合は、水を手でかけてもいいでしょう。
顔まわりはシャンプーで洗うのではなく、ぬらした布でやさしく拭いてあげます。
シャンプーで洗う
シャンプーを体全体にかけたら、シャンプー開始。首から背中、足、しっぽと上から下に向かって、シャンプーを泡立てて洗います。
汚れやすい肛門まわり、しっぽのつけ根はとくに念入りに洗いましょう。
しっかりすすぐ
体をぬらしたときの要領で、耳や目にシャンプーが入らないように注意しながら、ぬるめのシャワーで洗い流します。リンスをする場合は、体全体にもみこんだあと、間を開けずに洗い流します。
猫は自分の毛をなめて毛づくろいをするので、シャンプー成分が毛に残らないように徹底してすすぎましょう。
念入りにタオルドライ
ぬれやすく乾きにくい猫の毛。吸水性のよいタオルで、しっかりと乾かします。ドライヤーの音を嫌がる猫は多いので、ドライヤー時間短縮のため、タオルドライの段階で、なるべく水気をとっておきたいものです。ごしごしこするのではなく、タオルでおさえるようにして水気を吸わせて。
ぬれたままだと、急激に体温が下がる危険性があるので、部屋を温かくしておくことも大切です。
ドライヤーで仕上げ
ドライヤーを温風にして、熱さを確認します。地肌に近づけすぎないように注意しながら、お尻側から風を当てていきます。顔、とくに目には風を直接あてないようにしてください。コームやスリッカーブラシでとかしながら行うと、乾きが早く毛並みも整います。毛の根元まで風を入れて乾かしたら、もういちどコーミングをして終了です。
おつかれさまでした!
きっと、きれいにふわふわになった毛並は抱き心地満点で、たしかにシャンプーの威力を感じることでしょう。でも、猫が気持ちいいと感じるのとはまた別の問題。水をかけられること、シャワーの音、ドライヤーの音など、猫のストレス要素をいかに軽くするかがシャンプーを成功させるコツです。
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