悲しいことですが、いつかは大切な猫ちゃんと別れる日がやってきます。お別れを前に、もっと猫ちゃんに対してもっとやるべきことがあったのでは…という思いに襲われる飼い主さんも多いことでしょう。でも、猫ちゃんと一緒に楽しい思い出を共有し、ずっとそばで見守ってきた飼い主さんが一生懸命考えてその都度下してきた判断はどれも正しいに違いありません。きっと猫ちゃんも安心して旅だっていけるはずです。

自宅で看取るということ

入院したまま最期を迎える猫もいますが、残された時間はできれば住み慣れた我が家で家族と一緒に過ごさせてあげたいもの。治療やケアの段階を過ぎたら、もう何もしてあげられることはない…なんてことはありません。体をやさしくなでてあげたり、話しかけてあげたり、寝床を整えてあげたり、できることはたくさんあります。飼い主さんの温もりが感じられれば、きっと猫も安心するはずです。また、呼吸や鼓動の変化など、ささいな異変も見逃さないように旅立ちの時までそっと見守ってあげましょう。

最期のサインを見逃さない

お別れが近づいてきたことを知るサインはいくつかあります。一番覚悟しなければならないのが、意識をなくしてしまうこと。意識をなくし口呼吸をしていたら要注意です。呼吸が浅くて早い、または深くてゆっくりになっていたら、あと数時間のこともあり得ます。そばを離れずに見守りましょう。また、心拍数が下がった場合も気をつけてください。健康な猫の心拍数は1分あたり120〜180回です。臨終が近づくと、たいていの場合ゆっくりとした心拍になります。心拍数は猫の胸に耳をあて鼓動を聞いて確認します。音が弱くゆっくりしてきたら注意が必要です。同じく注意が必要なのが嘔吐したあとです。嘔吐の瞬間は内蔵にも分布する脳神経のひとつ、迷走神経が刺激され心拍数が下がります。嘔吐した瞬間、心臓が止まってしまうことが多いといわれるほど、心臓に負担がかかってしまうのです。

旅立ちの準備を

お別れの準備は辛いものですが、きれいな状態でお葬式を迎えさせてあげたいですね。ムリはせずできる範囲で遺体をきれいにしてあげましょう。よだれや目やに、耳あかなど汚れている部分をきつく絞ったタオルなどできれいにします。また臨終の際、おしっこが出てしまうこともありますので、お尻まわりもきれいにしてあげます。体をきれいにしたら、供養するまでの間、木箱や段ボールなどの棺に納めます。生前使っていたタオルや好きだったおもちゃ、花などを一緒に入れ涼しい場所に安置します。夏場は保冷剤も一緒に入れであげましょう。遺体の痛みを防ぐため、できれば翌日には葬儀を行い、何日もおかないようにします。

どんな葬儀にするか

大事な猫をなくした直後は、悲しみのあまり葬儀のことなど考えられないはずです。辛い作業ですが、どんな葬儀を行うか、相場はどのくらいなのかなど、事前に調べておくといいでしょう。葬儀や供養の方法に決まり事はありません。迷ってしまったら、かかりつけの動物病院や猫を見送った経験のある友人に相談してみるのもひとつの方法です。信頼できる相手の紹介であれば、安心して任せることができるでしょう。主な供養の方法としては、ペット霊園に依頼する、自治体に依頼する、自宅に埋葬するといった3つがありますので、飼い主さんの考えに沿って選んでください。精一杯供養してあげたことで喪失感が抑えられた、という声もあります。心を込めて送り出してあげましょう。

ペット霊園に依頼する

ペット霊園では、火葬後に葬儀を執り行い、納骨、供養まで引き受けてくれます。葬儀の形式は、他のペットと一緒に火葬する「合同葬」、個別に火葬する「個別葬」、個別葬に立ち会える「立会い葬」の3つに分けられます。葬儀後、専用墓所に納骨され、個別葬、立会い葬では遺骨を持ち帰ることもできます。費用の目安は合同葬が1万円前後、個別葬は2〜3万円前後、立会い葬は4万円前後で、納骨にも別途料金が必要になります。最近はこうしたペット霊園で埋葬する人が増えているようです。

自治体に依頼する

自治体によって火葬方法やその後の対応が違います。ペット専用の火葬場がある場合もありますが、自治体によっては契約しているペット霊園に依頼するところもあります。小さな自治体の場合、ゴミ焼却炉を利用することもあるようです。費用もそれぞれに異なりますので、予め住まいのある自治体に確認しておきましょう。

自宅の庭に埋葬する

自宅に庭がある場合は、庭に埋葬するという方法もあります。穴が浅いとカラスなどに掘り起こされてしまう恐れがありますので、1メートル以上の穴を掘って埋めるようにします。棺は土に戻る素材にしましょう。布で包む場合もポリエステルなどの合成繊維のものは避けて綿素材な自然なものにしてください。ただし、あくまでも地域の条例に従った上で行ってください。

 

 

長生きのため「高齢のネコちゃんにできること」

●「シニア猫」に関するにゃんペディアの獣医師監修記事

かかりやすい病気:「高齢の猫ちゃんと暮らしている方は要注意!高齢猫がかかりやすい病気

お部屋づくり:「高齢の猫ちゃんが過ごしやすいお部屋作り

健康チェック:「シニア猫の健康チェック方法とは?病気を早期発見するためのポイントを紹介

老年のサイン:「猫が老年期を迎えたときの見分け方

シニアの食事:「高齢の猫ちゃんが食べやすい食事とは

老猫のトイレ:「高齢の猫ちゃんのトイレのためにできることとは

高齢猫の寝床:「高齢の猫ちゃんが寝ている時に注意すべきこと

高齢猫の日常:「高齢の猫ちゃんに私たちができること

リンパ腫:「高齢猫がかかりやすいリンパ腫とは?症状や治療法など

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

 

うちの子おうちの医療事典

 

 ☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

【治療面】■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり 

【症状面】■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある

【対象】■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い  

【季節性】■春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつりやすさ】■ 犬にうつる ■ 人にうつる ■ 多頭飼育で注意 

【命への影響度】■ 命にかかわるリスクが高い

【費用面】■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防】■ 予防できる ■ワクチンがある

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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