人間と同じように、ねこも季節の変わり目は体調に変化が起こりやすい時期です。 厳しい暑さの夏が一段落し、ねこたちも過ごしやすくなる秋ですが、昼間と夜の寒暖差が大きいことや、夏に溜まった体の疲れが出やすい時期でもあります。

ここでは、アイペット損保の保険金請求データを参考に、秋に気をつけたい猫の病気について解説します。

 

 

毛球症

夏毛から冬毛へと毛が生え変わる換毛期の秋。換毛期には普段よりも抜け毛が多くなります。 グルーミング(毛づくろい)のため体を舐めた時に飲み込まれた抜け毛は、定期的に口から吐き出されるか、便と一緒に排出されます。しかし、飲み込んだ毛が胃の中で絡み合ったり、ボール状にまとまってしまうことで、たまった毛を排出することが難しくなると、毛球症を引き起こします。 とくに、長毛種や頻繁にグルーミングをする猫などで起こりやすく、毛玉の刺激によって胃炎を起こしたり、食欲が低下したり、嘔吐が頻繁にみられるようになります。

 

予防法は、こまめに

ブラッシングをすることで、飲み込む毛の量を減らしてあげたり、毛玉ケア用のフードを与える

ことも有効です。

 

毛玉が胃の出口や腸を塞いでしまった場合には、外科手術が必要となるケースもあります。

 

 

 

肥満

暑い夏は食欲が低下気味だった猫も、過ごしやすい秋になると食欲が旺盛になります。 冬に備えて脂肪も蓄えやすくなるため、フードの与えすぎには要注意です。

猫は肥満になると、糖尿病脂肪肝膀胱炎関節炎などさまざまな病気を引き起こしやすくなる

危険性があるため、体重管理には気をつけましょう。猫の肥満が引き起こす病気について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

 

 

 

膀胱炎・尿石症

気温が落ち着く秋は、夏に比べて飲水量も少なくなり、泌尿器系のトラブルを起こしやすい季節です。

飲水量が減ることで、尿の量が減ると、膀胱炎尿石症を引き起こしやすくなります。

トイレに行く回数が増えたり(頻尿)、トイレに行っても尿がなかなか出なかったり、血尿がみられたりすることがあり、尿路に結石などが閉塞して尿が完全出なくってしまうと命に関わる危険性があります。

猫が新鮮な水をいつでも自由に飲めるよう水飲み場を確保したり、排尿を我慢しないようにトイレは常に清潔な状態を保ちましょう。

また、尿に異常がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。

 

 

腎臓病

飲水量が減りやすい秋〜冬は、腎臓にも負担がかかりやすい季節です。 猫はもともと腎臓病になりやすい動物で、とくに高齢の猫で多く、15歳以上の猫の81%が慢性腎臓病であるという報告もあります。 慢性腎臓病は初期には無症状なことが多く、尿量の増加・食欲の低下・嘔吐・口臭・毛艶の悪化などの症状がみられるようになる頃には、ある程度病気が進行してしまっている可能性があります。

 

慢性腎臓病を予防するには、

猫が新鮮な水をいつでも自由に飲めるよう水飲み場を確保したり、定期的な健康診断を受けて腎臓の状態をチェックすること

が重要です。

 

 

 

マダニ感染症

暑さが落ち着き、過ごしやすい季節となる秋は、外へ出かける猫も活発になる季節です。外ではさまざまな寄生虫と出会ってしまう危険性があり、この時期に特に注意したいのがマダニです。

マダニは日本全国に生息し、どんな気候にも対応するとされていますが、特に春と秋の年に2回、その活動が活発になります。

川原や森、山の中などに多いとされていますが、公園の草むらなどにも生息している可能性があるので、猫も予防をしっかり行いましょう。

 

 

マダニに噛まれると、貧血皮膚炎などを引き起こすだけでなく、近年ではマダニが媒介する恐ろしい感染症があることも知られるようになってきました。 中でも、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、ウイルスを保有しているマダニに噛まれることで感染する感染症で、人で重篤な症状を引き起こす可能性があります。

 

SFTSウイルスに感染すると、6日〜2週間の潜伏期間を経て、発熱や食欲低下、嘔吐、下痢、腹痛などがみられます。 このほかにも、頭痛、筋肉痛、意識障害などの神経症状、皮下出血、下血などがみられ、最悪の場合には死に至ります。犬や猫でも、同様の症状がみられ、有効な治療法はありません。

猫と家族の健康を守るためにも、予防薬でマダニの寄生を予防することはとても重要です。

 

 

参考:国立感染症研究所 病原微生物検出情報サイト

 

 

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福永めぐみ先生

福永 めぐみ

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