
予防接種や病気の治療のために注射が必要となるケースは多々あります。
「うちの子、注射は痛くないかな?」「どこに打っているの?」と疑問に思う飼い主さんも少なくありません。
今回は、動物病院で行われる注射について、またお家で気をつけてほしいポイントを解説します。
どうして「注射」が必要なのか?
動物病院では予防接種以外にも、病気の治療のために注射が必要となるケースがあります。
注射薬しかない種類のお薬を投与する場合以外にも、飲み薬(経口薬)がある中で、あえて注射薬を選択するのには理由があります。
例えば...
即効性を期待する場合
胃腸を介さず直接体内に吸収されるため、救急時や強い痛みがある時などに有効です。
確実な投与
薬を吐き出してしまう子や、食欲がない子でも確実に全量を投与することができます。
持続性
注射薬の中には、 1回の注射で2週間効果が続く抗生物質など、通院頻度を減らせるケースもあります。

痛みの違い
薬液の種類や注射をする部位によって痛みの感じ方は変わるとされています。
皮下注射
皮膚と筋肉の間にあるゆとりのあるスペースに投与します。通院で使用されるワクチンや抗生剤、制吐薬などは皮下注射で投与することが可能なものが多いです。
皮下点滴
針は少し太めのものが使用されることが多いですが、液体自体は体液に近いため、投与している最中の痛みは少ないのが一般的です。
筋肉注射
皮膚の下に投与する皮下注射や、血管の中に投与する静脈注射と比較して、筋肉に投与する筋肉注射は痛みが強いとされています。
皮下注射はからだのどの辺りにするの?
動物の皮下注射は、主に「首の後ろから背中にかけて」のあたりに行われるのが一般的です。
皮膚の下のスペースを確認
首の付け根から肩甲骨あたり、または太ももあたりの皮膚をつまみ、比較的よく伸びて皮膚の下にゆとりがありそうな場所を探します。
前回の場所を避ける
繰り返し投与する場合には、炎症反応等のリスクを下げるために前回とは異なる場所を選択する場合があります。
※猫の注射部位肉腫
猫では、注射部位に悪性腫瘍(肉腫)が発生することがあり、注射部肉腫(Injection site sarcoma:ISS)と呼ばれます。
多くは中年齢以降(平均8歳)で発生し、皮膚の下にある皮下組織に腫瘤を形成します。組織学的には、ほとんどが繊維肉腫という悪性腫瘍ですが、骨肉腫や粘液肉腫などのさまざまな腫瘍が報告されています。
猫の注射部位肉腫では、外科手術を中心とした治療が必要です。
そのため、ワクチンを接種する際には、万が一腫瘤ができてしまった場合にも切除しやすい場所(四肢や尻尾など)に注射し、首や肩甲骨の間などは避けることが推奨されています。
ワクチンを接種した部位に腫瘤ができた場合には、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

飼い主さんにお願いしたいこと
注射の「前」には…
しっかり保定(保持)する
飼い主さんが動揺すると動物に伝わってしまうことがあります。「大丈夫だよ」などと声をかけながら、顔が動かないように優しく支えてあげてください。(難しい場合は動物病院のスタッフに任せましょう)。また、洗濯ネットなどに猫ちゃんを入れて来院していただくと、猫ちゃんもより安心して注射を受けることができます。
体調をチェックする
病気の治療中はもちろん、予防接種の際にも、「いつもより元気や食欲がない」、「お腹の調子が悪い」など、体調に不安があるときには、接種前に必ず獣医師に伝えましょう。
注射の「後」には…
安静に
とくに予防接種の場合には、 激しい運動やシャンプーは数日から1週間程度控えていただく必要があります。獣医師の指示に従いましょう。
体調の観察
〇アレルギー反応
接種した直後〜数時間以内に瞼や顔が腫れたり(ムーンフェイス)、痒がったりする場合、また嘔吐や下痢などがみられる場合には、アレルギーのサインである可能性があります。すぐに動物病院に連絡しましょう。
〇しこり
数日後に小さな硬結ができることがあります。数日かけて自然に消失する場合が多いですが、1週間以上硬結感が消えなかったり、大きくなるようなら、動物病院を受診しましょう。
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福永 めぐみ
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