〝今日までぼくはあまりに多くの時間を、猫のためにドアを開けたり閉めたりすることに消費しすぎていたからだ〟。これはハインラインのSF小説『夏への扉』の冒頭部分に出てくる言葉です。
猫ちゃんって、出せといっては鳴き、入れろといっては鳴きますよね。そこで、主人公は猫のために使っていない寝室の窓に猫ドアを作ってあげるのです。
さて、この猫ドア、いつ頃から使われているのでしょうか。

その起源は18世紀にあり

猫ドアの起源は、18世紀のイギリス・ケンブリッジにまで遡ります。
18世紀といえば、さしもの動物愛護先進国・イギリスといえど、あまり犬猫に優しい時代ではありませんでした。別に虐待をしていたわけではないですが、「人間様はエライいのだから、他の動物をどうしようがいいじゃないか」というスタンスだったようです。猫もいればいたでいいけど、ご飯をあげたりすることはありませんでした。
そんなご時世の中、どうやって猫ドアが生まれたのでしょうか。
皆さんもよくご存じの、ある天才が猫ドアを生み出したのです。

その名はニュートン

 

その人物とは、アイザック・ニュートン。そう、リンゴが落下するのを見て「万有引力」を発見したばかりでなく、ドイツの数学者ライプニッツとほぼ同時期に微分積分を編み出し、物理学の礎とも言うべきニュートン力学を構築し、光学の分野でもめざましい功績を残した「知の巨人」です。その理論の難しさは、教鞭をとっていたケンブリッジ大学では、学生がついて行けなくなって教室はもぬけの殻だったというほど。
ニュートンは、誰もいない教室でひとり講義を続けたといいますから、まぁ、ヘンクツというか一筋縄ではいかない御仁であったのでしょう。

残りご飯は猫のために

ニュートンの伝記を著したP.M.ラッタンシによると、ニュートン力学の集大成『プリンキピア』を執筆中のニュートンは、ろくに食事も取らず、身だしなみも整えず、靴のかかとはすり減り、髪もぼさぼさだったといいます。部屋に運ばれたまま、手を付けられなかった食事は、飼っていた2匹の猫に与えられました。
前述のように、猫にご飯をあげることなどなかった18世紀のイギリスで、猫にご飯をあげることは奇行として人の目に映ったようです。塩分の問題などもありますから、人の食事をそのまま与えることは、現代でもおすすめしません。
なにはともあれ、食事を取らないニュートンはやせ細り、ご飯を貰う猫は太っていたといいます。

 

猫ドア
そんな猫好きニュートンですから、猫のドアを生み出すのも不思議ではないでしょう。
切り取ったドアに鉄の板を磁石でとめ、鉄の板がスイングする構造でした。2匹の猫のうち、大きい猫には大きめのドアを、小さい猫には小さめのドアを作ってあげましたが、どちらの猫も大きい方のドアから出入りして、ニュートンを不思議がらせました。
猫には万有引力を越えた神秘があるので・・・はなく、きっとニュートンが変なのでしょう。
この猫が子猫を生んだとき、「早速ドアに子猫用の小さな穴を開けなさい」と召使いに命じたところ、召使いは冷静にこう答えたそうです。「親猫用の穴から子猫も通れます」。

 

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