大人の女性であれば、基本的に月に一度生理がありますよね。飼い主さんが女性で猫ちゃんも女の子だった場合、「あれ?うちの子生理こないのかな?」とふと疑問に思った飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。猫ちゃんに生理はないのでしょうか?ここでは、知られざる猫ちゃんの生理事情について解説します。
そもそも生理ってどんな状態?
生理は一般的には、人間と高等霊長類の雌の子宮から周期的に起こる「生理出血(周期排卵)」のことを指します。妊娠の準備をしていた子宮から、妊娠しなかった場合に内膜が流れ落ちてくる現象です。
成熟した卵胞が裂けて卵子(卵母細胞)を放出することを、「排卵」といいます。この飛び出した卵子が精子と受精することなく、子宮内膜にも着床しない場合には子宮内膜が剥がれ、生理出血が起こります。子宮内膜は子宮に存在する上皮組織で、いわば赤ちゃんのベッドのようなものです。人間の生理は思春期に始まり(初潮)、個人差はありますが、閉経時期までの間におよそ28日周期で起こり、通常3〜7日間続きます。
猫に生理はあるの?
生理はおもに人間、猿、類人猿に見られる現象です。類人猿とは若干メカニズムが異なりますが、猫と同じく身近なペットである犬にも、例外的に生理があります。犬に生理があるのだから猫も生理があるのではないか、と考える飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、実は猫に生理はありません。
雌猫が性的に成熟して繁殖能力を持ち、交尾を容認するようになる状態を発情といいます。通常、生後6カ月~12カ月で初めての発情を迎えます。個体差はありますが、発情は1年に3~4回程度繰り返すことが多いようです。
発情期の猫は、交尾をしたときにだけ排卵する「交尾排卵」という方法を取ります。交尾排卵では、交尾をしたときの「交尾刺激」によって排卵を行い、定期的な排卵は行いません。そのため、生理出血によって血液を失うことはありません。
この交尾排卵は、交尾されたときに多くの卵子を出せるため、効率よく子孫を残すのに適しています。猫以外だとウサギも交尾排卵を行います。
メス猫も生理に似た出血は病気が原因
メス猫の陰部から出血が見られた場合は生理出血ではなく、何らかの病気やトラブルの可能性があります。トイレに血が混じっていたときに疑われる病気をいくつか挙げてみましょう。
◆陰部から出血が見られたときに考えられる病気
・子宮内膜炎
・子宮ガン
◆尿路から出血が見られたときに考えられる病気
・膀胱炎
・尿路結石
・腎臓からの出血など
飼い主さんがトイレを確認した際に血が混じっているのを発見したとして、それが陰部からの出血なのか尿路からの出血なのかはわからないかもしれません。
ただ、陰部からの出血も尿路からの出血も、どちらも早急に対処する必要があります。もし排泄物に血が混じっているのを確認した場合は、すぐに動物病院に連れて行ってあげてください。
生理の出血によって血を失うこともなく、効率よく子孫を残せるようにできている猫のからだ。生殖能力が高いのもうなずけますよね。逆に出血しているときは、病気のサインです。
飼い主さんが正しい情報を仕入れることで、可愛い猫ちゃんがいつまでも健康に暮らしてくれたらいいですね!
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【治療】
■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり
【症状】
■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある
【対象】
■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い ■女の子に多い