ペットショップで仔猫を購入された方の中には、マイクロチップが入っているという話だけど『どのような機能があるのか』『どう使うものなのかよくわからない』…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、そんな身近なようで謎の多いマイクロチップについて詳しく解説していきます。

そもそもマイクロチップってどんなもの?

マイクロチップってどうやって装着するの?費用は?

マイクロチップのメリット・デメリット

健康上の問題が起こる可能性はあるの?

マイクロチップの登録や内容の変更方法は?入ってるらしいけどうちの子登録されているのかな?

マイクロチップの装着は義務になったの?

最後に

 

そもそもマイクロチップってどんなもの?

マイクロチップとは直径2mm、長さ8~12mmの円筒形の生体適合ガラスのカプセルです。皮膚と筋肉の隙間に注射器のような器具を使用して挿入します。

迷子札のような役割を果たすものなのですが、装着しただけではその機能はありません。マイクロチップにあらかじめ登録されている15桁の番号に飼育者の情報、動物の情報をデータ管理団体に申請、登録することで初めて迷子札として機能するのです。

この番号は専用の読み取り機(マイクロチップリーダー)を体の表面にかざすと、マイクロチップリーダーからの電波に反応して、マイクロチップがデータ電波を発信することで番号を読むことが出来ます。そのため、マイクロチップ自体には電池が必要なく30年ほどは耐久するといわれています。

 

ちなみにマイクロチップにはGPS機能はついていませんので、迷子のペットを追跡する事はできません。

体内に装着するマイクロチップは、首輪などにつける普通の迷子札と違い『決して無くさない迷子札』であるといえるでしょう。

 

マイクロチップってどうやって装着するの?費用は?

 

体内に入れるというと、少し怖いイメージもあるかもしれません。

では、具体的にマイクロチップはどのように体内に装着するのでしょうか?

 

マイクロチップは皮膚の下に埋め込む!

マイクロチップを装着する際は注射器のような器具を用いて予防注射をする時と同じような方法で皮膚をつまみ上げて、皮膚と筋肉の隙間に針を刺して挿入します。注射の針は予防注射で使用する針より太く、竹串くらいの太さをイメージして頂けると近いと思います。

マイクロチップの装着は獣医療行為となりますので、獣医師に行ってもらわなくてはいけません。挿入する場所は首のうしろ~肩甲骨の間辺りとなっています。

 

装着は日本獣医師会によると生後4週から可能といわれています。また、イギリスの猫専門の愛護団体のCats protectionでは、1回目または2回目のワクチン接種時に行われる事が多いと述べています。イギリスでは日本と違い、屋外にアクセスする飼い方も一般的なので、外出を始める前の早い時期に装着することを勧めているのです。

 

装着可能時期はその子の状態、体格によって変わりますので装着前に獣医師の診察を受けて、相談しましょう。

 

装着時の痛みは?

一般的には、針は太いけれど痛みは予防接種と同じくらい、といわれています。ただ、針が太めなので敏感な子では少し強く痛みを感じる可能性があります。

日本では、全身麻酔をかけている避妊去勢手術の際に一緒に行われることも多いですし、痛みのストレスを軽減させるために局所麻酔を使用してから挿入する方針をとっている獣医師もいます。

 

装着費用はどのくらい?

装着するための費用は各動物病院によって異なるので、正確には動物病院に問い合わせてみましょう。一般的には数千円程度で行っている病院が多いようです。

 

装着費用以外に、日本獣医師会への1050円の登録費用がかかります。一度登録すると、その後のデータ管理等に費用はかからず、住所や連絡先の変更などデータの変更についても費用はかかりません。

 

自治体によってはマイクロチップ装着に補助金を設けている所もあります。

保険会社によってはマイクロチップを装着している子は保険料が割引になるマイクロチップ割引もありますので、自分が対象になるのか調べてみましょう。

 

 

マイクロチップのメリット・デメリット

 

具体的にマイクロチップのメリット・デメリットには、どんなことがあるのでしょうか?

 

マイクロチップのメリット

体内に装着しているので、首輪につけるような通常の迷子札とは違い首輪を無くしてしまっても、その子の飼い主さんがわかります。

特に猫では、首がしまってしまう事故を防止するために、強く引っ張ると外れるようになっている首輪を装着している子が多いので、決して無くさないマイクロチップの有用性は高いといえるでしょう。また、災害時など長期間飼い主さんの元に帰れない場合では、やせ細ってしまい保護時には首輪が抜けてしまっていて迷子札が確認できなかった事例もあったそうです。猫の場合は犬と異なり、登録を義務にしている地域は少ないので、マイクロチップを装着していることで、迷子の時の再会率があがるでしょう。

 

更に保護された恐怖で攻撃していて首輪に触れないような子でも柄の長いマイクロチップリーダーを使用することで、番号を読み取ることができます。そのような状況ではマイクロチップを装着していることで、飼い主さんのもとにスムーズに帰れる可能性があがります。

 

災害時に限らず、通常の迷子の時でもマイクロチップは大いに役立ちます。

マイクロチップのデータ管理を行っている日本獣医師会が把握している限り、昨年だけでも224件の迷子動物の返還にマイクロチップが一役買ったとのことです。

 

また、飼い主の責任を明確にすることで、安易に動物を捨てる事ができなくなるという動物福祉上のメリットもあります。併せて、既にやんばる地域、奄美大島など、日本の一部地域では猫の登録やマイクロチップの装着を義務付けています。この地域では、野良猫や捨て猫の数が多く、猫がヤンバルクイナなどの希少動物を捕食してしまう事が大きな問題になっています。なので、猫の登録やマイクロチップの装着を義務付けることで飼い主を明確にし、屋外で猫が捕獲された場合に飼い主への返還、飼い主がいない猫の場合は譲渡をスムーズに行う事で、野外生活をする猫を減らし、このような問題を解決していこうとしています。

 

他にも海外に動物を一緒に連れて行く場合、出入国の際にマイクロチップの装着が必要になる国もあります。

 

マイクロチップのデメリット

マイクロチップのデメリットとして、MRI撮影時にマイクロチップ周辺の画像が歪んでしまい、その部位の評価が正確にできないということがあります。MRIは、痙攣発作や、麻痺、ふらつき、頭の傾きなどの神経症状が発生した時に原因を探るために撮影する機会が多いです。実際にMRIを撮影・読影している獣医さんにお話を伺ったところ、首に近すぎる部位に装着していると、首の検査結果に影響が出やすく、肩甲骨の間だと比較的影響を受けにくいそうです。

 

また、もう一つのデメリットとしてマイクロチップリーダーがないと、肉眼では情報を確認することが出来ないということがあります。

例えば、マイクロチップを装着している猫が捕獲されても見た目では飼い猫か野良猫かを区別することはできません。

保健所や動物愛護センター、動物病院、地域によっては警察署など猫を保護する可能性の高い施設ではマイクロチップリーダーが備えてある所も多くなってきていますが、地域によってはマイクロチップリーダーの普及率が低い所もありますので、肉眼で確認できる迷子札や、首輪も必ず装着しておきましょう。

また、猫の場合、犬と比べて屋外で捕獲されない可能性も高いので、首輪をつけている事で周りの住民から目撃情報を提供してもらえる可能性もあります。

 

 

健康上の問題が起こる可能性はあるの?

 

日本獣医師会のマイクロチップ窓口によると、日本国内では過去にマイクロチップの破損事例報告があったそうですが、既にそのマイクロチップは販売中止になりリコールも済んでいるとのことでした。

メーカー側の調査によると、ロット単位で脆弱なものがあり、破損事故に繋がったとのことです。

近年ではそのような事故の報告はないということです。

 

また、全ての犬にマイクロチップ装着が法律で義務となっているイギリスでは動物のマイクロチップ装着の副作用情報も集められています。猫ではまだ義務になってはいませんが将来的な義務化を目標に装着を推奨しています。

 

イギリス獣医学研究所の2014年4月~2015年12月までのデータでは21件の猫のマイクロチップについての報告がありました。

 

その中で副作用として分類されているものとしては、挿入時の痛みや出血、しこりなど健康面での副作用の他にマイクロチップの脱落や、機械の異常などが原因で読み取りができない、マイクロチップの初期不良による破損、マイクロチップが挿入した場所から動いてしまうということがあげられています。

 

健康面での副作用は猫で11件報告されています。

そのうち1件でマイクロチップに反応した可能性がある腫瘍(種類は不明)が報告されています。他には、装着部位の感染、猫が装着部位を自分で掻き壊してしまって発生した皮膚炎、膿瘍が破裂してマイクロチップが膿みと一緒に体外に排出、などの事例が報告されています。膿瘍に関してはマイクロチップが原因ではなくケンカの噛み傷が原因の可能性があるとのことです。

イギリス獣医学研究所は、マイクロチップの装着率に基づいた副作用の発生率は現在統計出来ていないとのことですが、当時イギリスでは約750万匹の猫が飼育されていたので、その割合から考えるとマイクロチップの副作用で健康上に大きな被害が起こる可能性はきわめて低いだろうという見解を示しています。

 

また、アメリカ獣医師会もイギリスの研究結果に基づき、マイクロチップの副作用はほとんどなく、マイクロチップを装着することで得られる利益の方が圧倒的に高いという意見を発表しています。

 

 

マイクロチップの登録や内容の変更方法は?入ってるらしいけどうちの子登録されているのかな?

 

ペットショップで購入時、マイクロチップが入っているといわれたけど、登録はしてあるのかわからない、登録内容がはっきりしない、という方もいらっしゃるかもしれません。

せっかくのマイクロチップをきちんと機能させるためにも、不安な場合は登録の有無、内容について確認しましょう。

 

マイクロチップの登録について

マイクロチップは装着しただけでは、リーダーで読み取ってもただ15桁の数字を示すだけです。

その番号に紐付けて飼い主情報、動物情報を登録して初めて迷子札としての機能をもちます。

現在日本では日本獣医師会に登録することが一般的ですが、他にも猫を購入したペットショップによってはFAMという団体に登録しデータ管理を行っています。

これらの団体間でデータの共有は現時点では行われていません。

 

保護時にマイクロチップの読み取りが行われた場合、一般的には日本獣医師会の管理する『動物ID情報データベースシステム』というサイトで検索されることが多く、その場合日本獣医師会に登録がないと情報を引き当てることが出来ませんので、他団体のみの登録では迷子対策には不十分といえます。

 

自分の愛猫がFAMのみに登録されている場合は日本獣医師会にも登録することがおすすめです。

 

マイクロチップの登録がされているかについての確認方法

自分の愛猫がデータベースに登録されているかどうかは各団体に直接問い合わせる方法や、動物病院などでマイクロチップを読み取ってもらい検索してもらう方法があります。また、購入したペットショップによって購入時データ登録の代行をしている所と、していない所があるので不明な場合はまずペットショップに確認してみるのもいいでしょう。

 

動物病院でマイクロチップの読み取りをしてもらい動物ID情報データベースシステムで情報検索をしてもらうと、登録内容をその場で確認することが出来ます。また、愛猫のマイクロチップ番号がわかっている場合でも、動物ID情報データベースシステムでは動物病院や、保健所などの限られた施設でしか検索することができませんので、自分でインターネットを利用して検索することはできません。番号を伝えて動物病院で確認してもらうか、直接日本獣医師会に問い合わせてみましょう。

日本獣医師会に問い合わせる場合は、飼育者本人が行う必要があるので注意しましょう。

 

動物ID情報データベースシステムで、引当てが出来なかった場合は他団体にのみ登録を行っている可能性がありますので、迷子になった時に備えて日本獣医師会にも登録するようにしましょう。

 

 

各団体の連絡先

□公益社団法人日本獣医師会

 マイクロチップデータ登録窓口

 〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館23階

 TEL:03-3475-1695(自動音声案内)

 FAX:03-3475-1697

 E-mail:mc★nichiju.or.jp (メール送信時には★を半角@に変えて送信してください)

 

□一般社団法人Fam

 https://www.fam-mc.com/index.php(Famホームページ) 

 TEL:0800-805-7333

 

日本獣医師会への登録方法

日本獣医師会に登録する情報は

□飼育者情報

 氏名、フリガナ、住所、電話番号、その他の緊急連絡先、FAX番号、Eメールアドレス

 

□動物情報

 名前、生年月、性別、動物種、猫の種類と毛色

 

となっています。

 

登録申込用紙に必要事項を記入して、郵送します。獣医師記入欄もあるので、装着時に動物病院で代行してくれることが多いかと思います。その際、飼い主控えを渡されるので、大事に保管するようにしましょう。

登録申込書が日本獣医師会に到着してから2~3週間で登録が完了します。登録が完了すると「データ登録完了通知書(ハガキ)」が飼育者の登録住所に郵送で届きます。

このハガキは後の住所・連絡先などの変更時に必要となりますので、大切に保管してください。

 

マイクロチップ装着時のデータ登録料は、マイクロチップの代金に含まれていて装着時に動物病院に支払う場合と、登録手続きの際に自分で郵便局に振り込みしなければならない場合があり、マイクロチップ販売メーカーや地域によって異なりますので動物病院等で確認しましょう。

 

登録内容の変更方法

引っ越しや、飼育者の変更、連絡先の変更などが生じた場合は登録内容を変更しなくてはいけません。

登録したデータに変更がある場合は、「データ登録完了通知書(ハガキ)」(もしくは申込書の「飼育者控」)をコピーし、そのコピーの余白に変更事項を記入して、郵送又はFAXを日本獣医師会宛に送ります。

メールの場合はコピーの代わりに画像を撮り、メールに添付して本文に変更点や、データ削除などと記載して送信してください。

 

データ登録完了通知書(ハガキ)」もしくは登録申込書の「飼育者控」を両方とも紛失した場合には、本人確認が必要になるので直接電話で日本獣医師会に問い合わせるようにしましょう。

 

猫の里親さんになった場合は飼育者が変更になるので、登録内容の変更が必要です。以前の飼育者が分かる場合はその方に変更手続きを行っていただく必要があります。

不明な場合もマイクロチップの番号がわかれば、日本獣医師会にその旨を連絡すると、以前の飼育者に日本獣医師会が連絡をとり変更の手続きを行ってくれるので、日本獣医師会に問い合わせましょう。

 

変更手続きが完了すると新しい飼育者に「データ登録完了通知書(ハガキ)」が送られてきます。

その他の変更については変更完了の通知はきませんので、確認が必要な方は2~3週間後に日本獣医師会に問い合わせましょう。

 

マイクロチップの装着は義務になったの?

令和元年6月19日に、動物愛護管理法が改正されました。

この改正で、ブリーダーやペットショップなどの動物取扱業者にはマイクロチップの装着が義務づけられ、施行は3年以内(2022年)の予定です。

 

既に飼育している一般の飼い主さん、保護猫などペット販売業者以外からお迎えした子には装着の義務はありませんが、「出来る限り装着するように努力すること」とされています。

またマイクロチップを装着、登録している猫を所有した場合は一般の飼い主さんでも、登録情報の変更が義務付けられています。

つまりペットショップなどでマイクロチップを装着している猫を購入した場合は、自分の情報を登録することは義務となっているのです。

 

最後に

 

2018年12月末、日本獣医師会のマイクロチップ装着頭数から試算すると、日本の装着率は猫では4.2%となっています。

 

マイクロチップは装着することで、一般の飼い主さんにとっては災害時や迷子時などの再会率があがるという大きな利点があります。

実際に迷子の猫に迷子札も首輪もついておらず、マイクロチップも装着していないと飼い主さんが見つかるまで時間がかかってしまいますし、飼い猫かどうかを判断することさえ難しいのです。

マイクロチップが入っていればすぐに飼育者情報が判明しお家に帰ることが出来ます。

 

迷子で離れている時間は不安でストレスがかかるので、猫は緊張でごはんさえ食べられないこともあります。

そのような飼い主にとっても、猫にとっても辛い時間を短くするためにもマイクロチップの装着の検討や、登録内容の確認、変更をきちんと行うようにしましょう。

 

ただし、マイクロチップを装着しているからといって油断せず、猫は完全室内飼育の徹底を飼い主責任として努力し、脱走防止などはしっかりしましょう。

また、首輪にも迷子札の装着や裏側に飼育者情報を記入しておくなど備えておきましょう。

屋外生活をしている飼育者のいない猫が日本にはたくさんいます。

外で首輪もなく迷子になってしまうと、飼い主がいるかどうかさえ、判断できず保護すらされない事もあります。

大切な家族である猫が、緊急時にも自分の家の子だとわかるように出来る限りのことをしておきましょう。

 

西川 身和

詳細はこちら

関連記事

related article