ネット住民はネコちゃん好き?! インターネットに猫が氾濫しているワケ

2015年4月、CNNのサイトに掲載された、米誌ウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニスト、ジェフ・ヤン氏のあるコラムが話題となりました。

インターネットに猫ばかり氾濫している理由」と題されたそのコラムは、「米誌ニューヨーカーで有名になった犬の漫画がある。パソコンの前に座った犬は『インターネットなら誰も犬だとは分からないよ』と仲間の犬にささやく」との文章から始まります。

続けて、「だが犬には申し訳ないのだが、実際にはインターネットで犬だとばれても、誰も相手にしてくれない。なぜならウェブを支配するオタク連中は猫に夢中だから」とし、デジタル世界には猫があふれている現状を指摘しています。

ネット上での猫情報は、犬のそれをはるかに凌駕する

同コラムでは、「物理学教授のアーロン・サントス氏によれば、2010年の時点でインターネット上には約13億枚の猫の写真があり、当時に比べて2015年にはインターネットのデータ量は5倍になった。つまり猫写真は65億枚に増えている可能性がある。これは地球上の人口1人につき、ほぼ猫写真1枚に相当する」としています。

寄り添う猫なるほど確かに、ここ日本でもネット上には犬に比べて猫の情報が多い印象を受けます。ちなみに検索エンジンのGoogleで「dog」を検索するとヒット件数は約14億1,000万件、「cat」では約18億2,000万件。同じく「犬」では約9,120万件、「猫」では約2億2,700万件がヒットします(いずれも2016年2月10日 10時現在)。

ペットフード協会による犬猫の飼育実態調査の速報値によれば、2015年の日本での猫の飼育数は987万4,000匹。対する犬は991万7,000匹とほぼ拮抗していますので、やはりネットでの露出は、猫が突出して多いと言えそうです。

当のネット上でも、「なぜネットでは猫が人気なのか」を解き明かす、さまざまな論考が見られます。ここではそれらを参考にしつつ、ネットで猫がモテる理由を考えてみましょう。

“猫好き=猫全般”、”犬好き=犬種別”の法則

犬とねこまず挙げられるのが、犬は猫に比べ、種類が豊富であることです。犬は狩猟や使役、愛玩などの目的に合わせ、古くから犬種の改良が行われてきたことにより、そのヴァリエーションは極めて多様化しています。チワワやトイプードルなど体重1キロに満たない超小型犬から、マスティフやセント・バーナードなどの人間の体格を凌ぐ大型の犬種までさまざまです。

一方、猫は品種改良が始まってから100年ほどしか経っていないとされ、猫種のヴァリエーションも限定的です。

ハイタッチする犬一般的には、小型犬の愛好者は大型犬にはあまり関心がなく、反対に大型犬の飼い主は小型犬には興味がないように見受けられます。したがって、猫好きは「猫」という大きな括りで語りやすいのに比べ、犬は犬種によって愛好家が分散してしまい、ネットでの反応も限定されてしまう傾向があるのです。

結果として、猫好きがネットに発信する「猫」情報に、猫好きが反応する、という好循環が生まれていることが推測されます。

猫のキュートなルックスや行動は、動画投稿サイト向き?

猫の性格や習性に着目した意見もあります。一般に犬は飼い主に忠実であり、猫は気まぐれでクールな印象があります。犬の行動が、飼い主に対してあくまでも誠実で、けなげであるのに対して、野性味を残した猫の行動は予測不能な場合が多いようです。

Youtubeなどの動画投稿サイトでは、”おもしろ志向”の動画が人気を集めており、そこでの主役として、猫はうってつけのキャラクターでしょう。日本では箱が大好きな猫「まる」や、しゃべる猫「しおちゃん」(現在アメリカ在住ですが)、海外ではいつも不機嫌そうな顔をした「グランピーキャット」やスーパースター猫「ワッフルズ」など、有名猫には枚挙にいとまがありません。犬で、これらの人気者たちに匹敵する存在は、残念ながら見当たらないのが現実です。

★「箱が大好きなまるちゃん」の動画はこちら

★「しゃべる猫しおちゃん」の動画はこちら

ちなみに余談ですが、米インディアナ大学のメディア学部のジェシカ・ガル・マイリック准教授が、心理学の学術雑誌『Computers in Human Behavior』誌に寄せた論文によると、「猫動画を観ると元気が出る」「ネガティブな感情がなくなる」「仕事をさぼって猫の動画を観ても、感情面でのプラスの効果があるため、その後の仕事がはかどる」などの報告がなされています。約7,000人の猫動画を観る習慣や、観る前と観た後の感情の変化について調べた結果、ほとんどの人が猫の動画を観ると気分がよくなると答えたとのことです。

我が家の”猫自慢”はネットを使って

猫とパソコンまた、猫の飼育環境もポイントかもしれません。先のコラムでもネットでの猫人気の原因について、「もっともよく引用されるのが、猫類は外を一緒に散歩する相手ではないからという説だ。猫が外を歩くときはひとりで歩く。だから飼い主は相棒を見せびらかしたいと思う」との指摘がされています。

日々の散歩を日課とする犬では、散歩途中でほかの犬の飼い主との交遊があり、犬好き同士のコミュニティを形成しやすいのですが、室内飼いが基本となる猫ではそうはいきません。そのため、愛猫自慢をしたい”親バカ”たちは、ネットを利用して我が子のかわいさをアピールすることになります。

猫は、じつはあなたに似ている?!

さらに、ネット住民の性格自体が、どうも”猫っぽい”という事情もあるでしょうか。日々、散歩をせがみ、濃厚な関係性を結びたがる犬は、インドア派で孤独を好む傾向のあるネット民にとってはやや”重い”存在であり、”ツンデレ”な猫との暮らしの方が向いているということは言えるかもしれません。

パソコンにいたずら猫さて、自らを「犬を愛する正真正銘のオタク」とするジェフ・ヤン氏は、この猫に支配されたネット世界を嘆き、コラムで「キーボードの上を歩いて電気製品の上に液体をこぼし、装飾以外にこれといった利用価値のない社会的拒絶と感情的引きこもりの根源をもう1匹、本当にオタクたちは必要としているのか」と訴えます。

そして、「私たち犬オタクはそうは思わない。今こそ団結を。引き綱以外に失うものは何もない」と、なにやら悲壮感さえ漂う文章で結んでいます。

ただし、ヤン氏の憂いとは裏腹に、猫はその飼いやすさと現代人の志向にマッチした生態とで、ますますその存在感を増しています。このネット上の”猫天下”、まだまだ続くかもしれません。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでにゃんペディアをフォローしよう!

トップへ戻る