猫風邪ってなに?ただの風邪?どうやったら治るの??

風邪をひいた猫

猫が咳やくしゃみをしたり、鼻水を出したりと、人間の風邪に似た症状がみられる病気の総称を、「猫風邪」と言います。猫ちゃんが風邪をひいている状態です。しかし、ただの風邪だからと言って侮ってはいけません。猫が風邪をひくメカニズムからメジャーな治療方法についてまとめました。

猫風邪について

猫風邪ってどんな状態?

人間でも「風邪をひく」ことはよくあります。ただ、勘違いをしている方が多いのですが、「風邪」という病気はそもそもありません。なにかしらのウイルスなどの病原体が体内に入り込み、くしゃみや咳、鼻水など呼吸器系の炎症を起こしている状態を「風邪」と呼んでいます。つまり、厳密に言うと風邪は病名ではなく、症状なのです。

ちなみに猫風邪をひきおこす代表的な病原体は以下の4つ。

  • 猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)
  • 猫カリシウイルス感染症
  • クラミジア
  • マイコプラズマ

猫風邪って治るの?

普通の成猫が猫風邪で亡くなるということはまずありません。「猫風邪から肺炎に発展した」「猫風邪だと思ったら実は他の病気だった」という場合ではわかりませんが、単なる猫風邪だけで命を落とすようなことはほとんどないでしょう。

しかし子猫や高齢猫など、免疫力が低い猫の場合は別です。きちんと対処しなければ命にかかわることがあるので、「多分猫風邪だから大丈夫。」などと思わず、きちんと病院に連れていってあげましょう。

獣医師はこうやって「猫風邪」と診断をしている。

猫風邪の症状

猫風邪では、以下のような症状が見られます。

  • くしゃみや咳を繰り返す
  • 粘性の高い鼻水を出す
  • 目ヤニがたくさん出ている
  • 発熱による食欲不振や脱水症状
  • 角膜の炎症により、目をつぶっている

しかし、鼻水やくしゃみをしているからといって、猫風邪と判断することはできません。長い間室内飼いを徹底している猫ちゃんで、飼い主さんも他の猫ちゃんと触れ合っていないにも関わらず、急にくしゃみや鼻水が見られたとき、つまり、猫風邪の元になるウイルスの流入経路を確認できないときは、場合によってはガンなど他の病気の可能性があります。

獣医さんは飼い主さんの話を聞きながら、猫風邪以外の病気の疑いが低く、かつ外部の猫ちゃんとの接触が確認できた場合に、猫風邪を疑います。さらに、詳細な検査をする場合は鼻水や目ヤニを採取して、3~4日かけて病原体の遺伝子検査をします。その中に猫風邪の元になるウイルスのどれかを確認できたら、猫風邪という診断をつけるでしょう。

猫風邪の治療法

抗生剤、抗ウイルス剤を投与することで治ります。簡単に言うと、多くの場合処方されたお薬をきちんと飲ませてあげれば治ります。

根本的な治療をする場合は、抗ウイルス剤の投薬が必要になりますが、重症でないかぎり抗生剤を使って治療をします。また、目ヤニを押さえるために目薬をさしたり、食欲が落ちて栄養補給が必要な場合は、点滴をしたりすることもあります。

豆知識!知っていると面白い、抗ウイルス剤と抗生剤の違い

  • 抗ウイルス剤:体に入り込んだウイルスをの増殖を抑制したり殺す薬。
  • 抗生剤:体に入り込んだ細菌などの増殖を抑制したり殺す薬。

みなさん、ウイルスをやっつけたいのであれば、抗ウイルス剤を使うのがいいと思われるかもしれません。しかし人間の風邪の場合、基本的に処方されるのは咳止めや痛み止めなどで、出されたとしても抗生剤ですよね?抗ウイルス剤と抗生剤は一体なにが違うのか。その役割について、簡単に解説しておきます。

ウイルスの侵入を受けると、体の免疫はそのウイルスに一度負けてしまいます。そして熱が出たりくしゃみが出たりして、具合が悪くなります。しかし体の免疫というのはとても賢くて、侵入してきたウイルスはどこが弱点で、どのように攻撃すれば撃退できるかを分析し、体の中にある兵器工場に伝えます。それを受けて兵器工場では、そのウイルスを撃退するための兵器(抗体)を大量に生産し、結果自分のからだの免疫力だけでウイルスをやっつけることができるのです。

しかし、対ウイルス用の兵器を作るにはどうしても時間がかかります。風邪をひきおこすウイルスを相手にした場合だと、兵器生産に必要な時間はだいたい3~4日程度。その間は、免疫力が落ちている状態ですので、どうしても他の病気にかかりやすくなっているのです。もしその間に細菌が入り込んで悪さをしてきたらどうなるでしょう?

兵器工場にも限界はあります。本来対ウイルス兵器を作らなければならないのに、対細菌兵器まで作らなければならなくなったら、兵器の生産が追いつかなくなります。兵器の生産が追いつかなくなると、からだは別のウイルスや細菌に負けてしまいますよね。そういった2次被害を防ぐためのものが、「抗生剤」です。細菌などを殺して体の免疫力がウイルスだけに注力できるように手助けするためのものです。

飼い主さんが注意すべきポイント

風邪だからと言って、人間用の風邪薬を与えることは、絶対にしてはいけません。薬によっては少量与えただけで、死に至るものもあります。自分の判断であげることは絶対にやめましょう。また、鼻水と目ヤニがよく出るようなら、ぬるめのお湯を染み込ませたガーゼやティッシュなどで優しく拭きとってあげるといいと思います。発症してから1~2週間経っても改善傾向が見られない場合は、他の病気を併発しているか、別の病気にかかっている可能性が考えられます。そうなったときは再度病院に連れて行ってあげてください。

ヘルペスウイルスだけは完全に追い出すことができない。

猫風邪の原因となるウイルスの中でも、やっかいなのがヘルペスウイルスです。免疫力がしっかりしていれば、猫風邪の要因になるウイルスはからだの抗体だけで抑えることができますが、猫ヘルペスウイルスだけは全て駆逐することはできません。体の免疫力が高い間は、免疫が届きにくい神経細胞などに潜んでしまうのです。そして、免疫力が落ちてきたタイミングを見計らって活性化し、猫風邪を再発します。なんともやっかいですよね。

猫ヘルペスウイルスに一番効果的なのはワクチン接種。ワクチンで抗体を作っておけば、たとえ発症しても重症にはならないので、忘れずにワクチン接種を行いましょう。3種混合ワクチンでカバーできますので、成猫になってからも定期的なワクチン接種を続けて下さい。

もし野良の子猫が猫風邪だったら

猫風邪をひくと目ヤニがたくさん出ます。特に目ヤニを拭いてくれる人がいない野良の子猫の場合、目ヤニが固まって目があかなくなってしまいます。感染が眼球内まで進行してしまうとひどいときには失明をしてしまう場合もありますので、もしも目ヤニでグシュグシュになった子猫を拾った場合は、すぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。そのまままの状態を見ることができたほうが獣医さんも診察がしやすいので、すぐに病院に連れていける場合は、拭かないまま連れていくといいでしょう。仕事などで病院に連れていくのが遅れてしまうようなら、優しく拭き取ってあげてから、可能な限り早めに病院に連れて行ってあげてください。

人間同様、猫ちゃんも風邪をひきます。大事なのは「ただの風邪だから大丈夫」と自己判断しないで、きちんと病院に連れていくこと。早めに対処をしていれば、重症化することを防げます。病院に連れていくことで余計に体調を崩すのでは、と心配される飼い主さんは多いと思いますが、猫風邪をこじらせて肺炎になってしまったら大変です。早めに治してあげましょう。

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監修: 東京猫医療センター 服部幸
監修: 東京猫医療センター 服部幸
2003年、北里大学獣医学部卒業。
SyuSyu CAT Clinic院長、アメリカのテキサス州にある猫専門病院の研修プログラムを経て、2012年、東京猫医療センターを開院する。2013年には、アジアで2件目となるISFM(国際猫医学会)のゴールドレベルの認定を取得。
10年間にわたり、猫の専門医療に携わる。
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