猫は複数のオスの子を同時に産めるってホント?

3匹の子猫

雑種の子猫のきょうだいは、毛色がそれぞれ異なることがあります。黒猫のなかに1匹だけ白猫がいたり、上の写真の子たちのように1匹だけ茶色の子がいたり。猫の毛色の表れ方は複雑で、同じ母親・父親から生まれたとしても、両親からそれぞれどの遺伝子をもらうかで異なり、毛色がバラバラのきょうだいがいても不思議はありません。例えば両親がどちらも白猫だとしても必ず白猫が産まれるとは限りません。

さらに、屋外を闊歩する猫たちの場合、父親が異なる子猫が同時に産まれることがあるともいいます。

野良猫のメスは複数のオスと交尾することがある

発情期になると、1匹のメスの周りに数匹のオスが群がる、という光景が見られます。メスはオスたちの前で地面に転がってクネクネ……。まさしく「媚態」という感じです。

我が家のメス猫の発情姿。生後4か月で早くも発情し、慌てて手術をすることに……。

我が家のメス猫の発情姿。生後4か月で早くも発情し、慌てて手術をすることに……。 (上)布団の上をクネクネ。 (下)「ロードシス」と呼ばれる、オス猫を受け入れる姿勢。おしりを少し持ち上げ、しっぽを横にどかすのが特徴。オス猫に「カモーン!」と言っている姿。。。(^^;)

メスの発情期は10日間ほど続きますが、その間、メスは何度もオスと交尾をします。これは、大事な使命である妊娠を確実にするためです。たいていの場合、その地域のボス猫と交尾をすることが多いようですが、選択権はメスにあり、ボス猫以外のオス猫とも交尾をすることがあります。

猫は多排卵動物で、一度に複数の卵子を排卵します。ですから、人間の「一卵性双生児」のように、ひとつの受精卵が胎内で分かれて双子や三つ子になることは基本少ないといわれています。

純血種の子猫のきょうだいがみな同じ毛色をしているのは、母親・父親の毛色の遺伝子が固定されているから。人間の「一卵性双生児」のような状態ではありません。

純血種の子猫のきょうだいがみな同じ毛色をしているのは、母親・父親の毛色の遺伝子が固定されているから。人間の「一卵性双生児」のような状態ではありません。

多排卵動物である猫が複数のオスと交尾し、複数のオスの精子が着床した場合は、父親の異なる子猫を同時に産むこともある、といわれています。
つまり、同時に産まれるきょうだいであっても、「この子はトラキチの子ども、この子はクロスケの子ども」ということがありえるのです!
こうした現象は、多くの多排卵動物で見られるといわれます。

また、メスが複数のオスと交尾するのは、オスたちに「子猫は自分の子かもしれない」と思わせることで、子猫を守ろうとしている、という説もあります。理由はよくわかっていませんが、オス猫はまれに「子殺し」をすることがあり、子殺しを防ぐために、「この子はアンタの子どもかもしれないんだから、殺さないでよね!」という作戦だというものです。

さらに、重複妊娠も!?

猫の妊娠にはほかにも驚くべき話があります。すでに妊娠している最中に、さらに新しい子猫を妊娠することもあるというのです。「重複妊娠」といわれ、ウサギなどにも見られる現象です。

妊娠中でも妊娠ホルモンが低レベルだと、再度発情期を迎えることがあるといいます。その結果、おなかの中に「最初の子猫」と「新しく受精した子猫」が共存。問題なのは、「最初の子猫」を産むための陣痛で、成長しきっていない「新しい子猫」も産まれてしまうことが多いこと。未熟児のため、無事に成長することが難しいのです。

猫が一度に産む子猫は平均4頭で、多くても母猫の乳首の数を超えない8頭までが普通です。どの動物も、母猫の乳首の数が不足しないようにできているのが自然の摂理。しかしまれに、一度に10頭以上生まれることもあり、その場合はもしかすると、この「重複妊娠」なのかもしれません。

子猫たちの写真

人間なら「異父兄弟」にあたる子どもが同時に産まれるかもしれない猫。猫の妊娠は人間とは違いすぎて驚くことばかりで す……!

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日本動物科学研究所所属・編集者&ライター 富田園子
日本動物科学研究所所属・編集者&ライター 富田園子
幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。
猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。
哺乳類動物学者の今泉忠明氏に師事。
現在は5匹の猫と暮らす。
編集・執筆を行った本に『マンガでわかる猫のきもち』『幸せな文鳥の育て方』(大泉書店)、『フレブル式生活のオキテ』『シュナ式生活のオキテ』(誠文堂新光社)、編集を担当した本に『猫とさいごの日まで幸せに暮らす本』(大泉書店)などがある。5匹の猫と暮らす愛猫家。
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