猫ちゃんのデンタルケア~歯垢、歯石~

猫の歯磨き

わたしたち人間は、半年に一度は歯医者さんへ行って、お口の様子を診てもらったほうがよいと聞きます。そのときにチェックしてもらうのは、虫歯や歯周病の有無、歯の磨き方だけでなく、歯石のケアをしてもらいます。

では、猫にも人間と同じように、歯石はできるのでしょうか。

猫の歯石は深刻な病気の原因になることも!

ズバリ、猫にも歯石はできます。今まで長く猫を飼ってきた方はご存じかと思いますが、初めて猫と暮らす方にとっては「猫にもできるんだ!」と驚くかもしれません。

猫の口のなかをそっとのぞいてみてください。歯と歯茎の間が黄色っぽくなっていたり、歯茎にそって黄色〜グレーに変色し、盛り上がっていたりする部分がありませんか? それが歯石です。

歯石・軽度歯周病の症例写真

歯石・軽度歯周病の症例写真

歯石は人間と同じく、歯垢がかたまって石のようになってしまった状態のこと。この歯石の部分には病原菌が多く生息していて、それが「いやな口臭」につながり、やがて「歯周病」に発展してしまうこともあります。

歯周病が進行すると、歯茎だけでなく舌や口腔内に炎症を起こし、激しい痛みを伴うため、完全に食欲を失ってしまう猫もいます。抜歯しなくてはならない場合にも、猫の食生活に大きな影響が出ます。

猫歯周病写真

猫歯周病写真

さらに、内臓に負担をかけ、いずれは深刻な循環器系の病気や関節の病気などを起こす危険もあるのです。そういう意味でも人間と同じ。歯石は放っておいていいものではないのです。

歯石はどこにできやすいの?

猫には、正面の上下に小さく並んだ「切歯」、その横にするどく尖った2本の「犬歯」があり、その両方の奥のほうに、「臼歯」と呼ばれるギザギザと山が連なったような歯があります。猫の唾液腺がこの臼歯の近くにあるため、臼歯のあたりに一番歯石ができやすくなっています。唾液に含まれるカルシウムやリンが、歯垢に付着することで歯石になるからです。

正常な猫の口腔内写真

正常な猫の口腔内写真

歯石対策、週に一度の歯磨き習慣

まずは、歯石がつかないようにするのが一番です。3歳以上の成猫なら、80%に歯石があると言われていますから、子猫のうちに歯石予防ができるとよいですね。

猫の歯垢は、およそ1週間で歯石に変化すると言われていますので、歯石予防のためには、週に一度は歯磨きをしたいもの。子猫のうちからブラシが柔らかい猫用歯ブラシを使い、磨かれることに慣れさせておくのが重要です。猫用歯ブラシは歯と歯茎に対して45度にあてるようにし、歯周ポケットをかき出すようにやさしく使います。

歯磨きグッズ

専用の歯ブラシ

歯ブラシの慣らし方

歯ブラシの慣らし方

大人の猫は、たいてい口まわりをいじられることを嫌います。最初から歯ブラシを使おうとせず、まずは指で口まわりをマッサージするなどして慣らします。次に、猫用歯磨き粉(たいてい猫の好きな味になっています)を指につけ、そっと歯に触るようにして、その味に慣れてもらいます。歯磨き粉によっては、歯の表面に添付するだけで歯垢の付着を防ぐものもありますので、選ぶときに見てみましょう。

猫の歯磨き

歯ブラシが使えるようになったら、口を無理に大きく開けようとはせず、口角の横からそっと歯ブラシをさし込むようにして磨きます。歯ブラシをどうしてもいやがる猫の場合は、綿棒を水で濡らして磨くか猫用歯磨き粉をつけてこするだけでも、歯石付着予防の効果が期待できます。

ついてしまった歯石には?

獣医さんにお願いして歯石を取り除くことを、「スケーリング」といいます。本格的に歯石に発展してしまったら、スケーリングで取り除くほかありません。超音波スケーラーやハンドスケーラーを駆使しながら、全身麻酔下で歯石を取り除いていきます。

麻酔歯石除去

スケーリングで一番大切なのは、表面に付着した歯石を取るだけでなく、歯周ポケットのなかまでキレイにすることです。歯周ポケットの中までたまった歯石を取り除くことをルートプレーにングといいます。歯周ポケット周辺は非常にセンシティブな部分なので、全身麻酔下にあると、丁寧な作業ができます。歯石の再付着までの時間を伸ばす効果もあります。

人と同じ! 猫にもデンタルケアの習慣を

人間と違って自分で歯のケアができない猫。猫にもデンタルケアが必要だとまず知ること、そして、歯を磨かれるほうも磨くほうも、なるべくストレスのないようにすることがポイントです。毎日のスキンシップを大切にして、お互いの信頼関係を築いていくことも、デンタルケアの重要な要素です。

猫の歯磨きの仕方はこちら…
‘獣医師が動画で解説、猫ちゃんの歯ブラシ嫌いを防ぐとは?’

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牧の原どうぶつ病院 院長 高田傑
牧の原どうぶつ病院 院長 高田傑
2004年、日本大学獣医学部卒業。
牧の原どうぶつ病院院長、卒業後 獣医歯科専門病院 センターヴィル動物病院勤務を経て、2009年牧の原どうぶつ病院を開院する。
大学在学中から獣医歯科を学び、卒業論文の研究テーマである歯周病再生療法をはじめ臨床現場で数多くの歯科治療を行っている。現在は千葉県獣医師会 日本小動物歯科研究会所属。
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