犬猫は地震を予知できるのか?

犬 がれき

東日本大震災から、今年で5年。いまだ私の中でも生々しい記憶として残っています。
地震大国ニッポン。地震とは縁を切りたくても、切れそうにありません。
今日のお題は、「犬猫は地震予知できるのかどうか」。
犬猫が自分で地震を予知して逃げてくれたり、人間も犬猫の行動から察知して避難できたら、こんなにうれしいことはないですよね。
というわけで、犬猫の地震予知能力について調べてみました。

「予知してるんじゃないか!?」と思わせる事例はザクザクある!

犬1975年2月4日、中国・遼寧省で発生した「海城地震」。この地震の前には、犬猫が異様に騒ぐなどの動物の異常行動が多く見られました。犬猫のほかにも、冬眠していたヘビが這い出す、ネズミが大量発生する、ガチョウが集団で空を飛ぶなどの異常事態でした。
当時の中国国家地震局はこれを地震の前兆と判断し、住民を緊急避難させることを決断。このため、マグニチュード7.3という大地震が起きたにも関わらず死傷者は少なく、1万人以上の人命が救われたのです。

1979年のカリフォルニアの大地震の直前にも、動物たちの異常行動が発生。このことからアメリカでは1万人を超えるボランティアの協力の下、200種以上の動物の行動観察を地震研究のために役立てているそう。ボランティアが動物の異常行動に気づいたら地震学者の緊急用直通電話に連絡するという体制といいます。

日本でも1995年の阪神・淡路大震災や2003年の十勝沖地震で、地震の前に多くの犬や猫が騒ぐ、震える、逃げるなどの異常行動が見られたことがわかっています。

さらに、大昔の話になりますが、古代都市ポンペイの話をご存じでしょうか。最近映画にもなりましたが、近くにあった火山の大噴火によって、人々が逃げる間もなく溶岩と火山灰に埋まってしまった話です。逃げまどう人々の姿がそのまま遺跡として残っており、怖いくらいに当時の様子を伝えてきます。
そのポンペイの遺跡には、首輪をつけた犬の姿も見られるのですが、なぜか、猫の姿は1匹も見当たりません。当時、猫もすでにペットとして飼われていたことは間違いがなく、これは「猫が察知して逃げたのではないか」といわれています。犬は察知しても飼い主のそばにいるけど、猫はさっさと逃げ出してしまうのかもしれません……。

なぜ察知できるのか!?

佇む猫さんこのような犬猫の行動、人間から見るととても不思議です。「超能力」があるのではないかと思ってしまいます。
が、これらは摩訶不思議な能力というわけではなく、もともと犬猫に備わった優れた能力によるものといわれています。

例えば、聴覚の鋭さ。人間は最高で20キロヘルツまでの音しか聴くことができず、それ以上の音は「超音波」と呼んでいます。ですがこの超音波、犬猫には聴こえるのです。犬は約40キロヘルツまで、猫はそれを超える60キロヘルツまでの音を聴くことができます。ですから人間にとっては超音波でも、犬猫にとっては超でも何でもありません。

地震の揺れ(主用動/S波)の前には、ごく小さな揺れである初期微動(P波)が起こります。P波は空気にも伝わり、地響きのような音として聴くことができます。犬猫はこのP波をいち早く感じ取っているといわれます。

また、大地震の前には静電気が急激に増加したり、磁場に変化が起きることもあります。人間でもこれを感じる人は頭痛が起きたりするそうですが、犬猫はこれをはっきり「異変」と感じ取り、騒ぎ出すのかもしれません。飼い猫が地震の前に狂ったように家じゅうを駆け回り、ドアを開けてやると外に飛び出して行ったり、母猫が子猫を急いで引っ越しさせるなどの行動が観察されています。

考えてみると、私たちが「超能力」や「第六感」と呼ぶ鋭い感受性は、もともと動物に備わっていたものなのかも。文明の中で生きている私たち人間だけが衰えさせてしまった感覚なのかもしれません。
とはいえ、昨今の犬猫は野生の勘を衰えさせてしまったものも少なくないようです。我が家の猫は、地震が起きたときもグウグウ寝ていて、家が揺れると慌てて飛び起き、ソファーの下へもぐり込んでいました。ああ、もう第六感は働かないのか……。

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日本動物科学研究所所属・編集者&ライター 富田園子
日本動物科学研究所所属・編集者&ライター 富田園子
幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。
猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。
哺乳類動物学者の今泉忠明氏に師事。
現在は5匹の猫と暮らす。
編集・執筆を行った本に『マンガでわかる猫のきもち』『幸せな文鳥の育て方』(大泉書店)、『フレブル式生活のオキテ』『シュナ式生活のオキテ』(誠文堂新光社)、編集を担当した本に『猫とさいごの日まで幸せに暮らす本』(大泉書店)などがある。5匹の猫と暮らす愛猫家。
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