猫の健康診断は本当に必要なのか?

飼い主さんによる毎日の健康チェックは、猫ちゃんが健康に暮らしていくための基本です。さらに年に1回程度は、動物病院での健康診断をしてもらうと安心です。健康診断では、血液検査や画像検査を行うことで、臓器や血液の状態をチェックすることができ、隠れている不調の発見につながることが多いのです。また、猫ちゃんの生活習慣やお手入れについて獣医師に指導を受けられるチャンスでもあります。生後1歳以降は、年に一度ワクチン接種を受けるのが大切なので、その際に一緒に受けることをおすすめします。

健康診断で検査すること

imasia_8973591_M 健康診断で行う項目は、病院によって多少差はありますが、「身体検査」「血液検査」「尿・便検査」の3つはセットになっていることが多く、基本的な健康診断検査といわれます。さらに画像診断も加えると、見つけられる病気の範囲が広がります。

身体検査

体重測定

体重測定を行い、痩せすぎていないか?ダイエットの必要がないか?などをチェックしていきます。

問診 

猫の健康状態についての質問に、飼い主さんが答えるという形で行われます。普段から飼い主さんがきちんと猫の状態を把握していることでスムーズになり、診察の助けになります。何か気になる点はないかなどを事前にメモしていくとよいでしょう。

聴診・触診

目や耳、口、毛並み、肛門まわり、リンパ腺などをチェックし、さらに触診をしてくまなく確かめます。また聴診器を使って、心音、肺音を聞いて脈拍に異常がないかをチェックします。

血液検査

採血した血液中の赤血球、白血球、血小板などを測定する「血球計算」と、臓器の問題がないか、血液中の化学成分を分析する「化学検査」があります。1時間程度かかることも。
費用の目安は血球計算で5000円~、血液化学検査で5000円~、ふたつ合わせた検査で10,000円~です。

尿・便検査

膀胱炎や腎不全などの腎臓から尿道にかけての器官で起こりやすい病気を発見できることがあります。また尿の成分によっては、糖尿病や肝臓病が疑われることもあります。
便検査では、寄生虫の卵を検出するものと、腸内細菌などをみるものがあります。尿・便いずれも、自宅で採取して検査してもらうのが一般的。費用の目安は各3000円程度です。

3つの基本的な健康診断に加えて、以下の検査もしておくとさらに安心です。

レントゲン検査 

X線によって、フィルム上に生体内の構造を撮影し記録する画像診断法です。レントゲン検査は、臓器など各器官のある位置や大きさ、形を確認するのに向いています。
費用の目安は、撮影する枚数にもよりますが、5000~10000円程度です。

超音波検査

レントゲン検査では判断しにくい、臓器内部の構造や腫瘍の有無を調べるために使われ、主に腹部と心臓の検査に使われます。心臓の検査では、レントゲン検査だと心臓の形や大きさの違いくらいしかわかりませんが、超音波検査をすると心臓の断面積・容積の変化など、心臓の内部の様子がよく観察できるようになります。 また、腹部の検査では、内部にある「できもの」の形や内部構造を確認するときに使われます

費用の目安は、撮影部位にもよりますが5000~10000円程度です。

心電図

心臓の動きを電気的に捉え、その記録をとったものです。正常な場合は一定の波形を示し、異常があるときには波形や間隔が乱れます。主に心臓病の診断に用いられますが、呼吸器病、内分泌の病気、神経の病気などでも行うことがあります。

費用の目安は2,500円程度です。

そのほか、体内のホルモン代謝などを調べる「ホルモン検査」、緑内障など目科系疾患の有無を調べる「目科検査」、歯周病の有無を調べる「歯科検診」などの検査もあります。獣医師と相談して、必要に応じて受けるとよいでしょう。

健康診断の検査では何がわかるの?


健康診断として行う血液検査では、「血球数計算」と「化学検査」を行うことがほとんどです。「血球数計算」では、貧血はないか、赤血球増多症はないか 、炎症はないか、壊死している部分がないか、などを調べることができます。「化学検査」では、各内臓の検査ができます。 タンパクの数値を調べることで、肝臓、腎臓、腸に疾患がないかなどを調べることができます。その他、肝臓、腎臓、副腎、甲状腺、消化器系、脾臓に異常がないかを調べます。これらの病気の正確な確定診断には、その他の検査もあわせてすることが必要ですが、その前の基礎的な情報は血液検査で得ることができるといわれています。

vet checks the health of a cat 「尿検査」では、腎臓や尿管など泌尿器の病気の有無を調べることができます。まず採取したおしっこの色や泡の有無、濁っているかどうか、尿比重などを検査します。また尿のpH値を調べ、結石の種類を推測することができます。酸性、アルカリいずれかに傾いている場合は、結石ができやすい体質といわれています。尿糖を検査し高血糖になっているか、糖尿病になっているか、など。そして尿中ビリルビンを検査することで、肝臓や胆道に異常が出ていないかを確かめることができます。

これらの検査だけでは、詳しい病気の確定はどうしても難しいことがあります。そこで追加されるのが画像診断、ホルモン検査です。血液検査だけでは、病気の半分ほどしか発見できないといわれており、腎臓病の初期や肺ガン、リンパ腫などは見つけにくいといわれています。病気のリスクが高まる高齢からは獣医師との相談の上、こうした検査を追加してもよいかと思います。

どうして定期的な健康診断が必要なの?

一番の理由は、病気の予防、そして早期発見のためです。猫は自分の痛みや不調を隠そうとする動物で、限界まで辛さを我慢してしまう傾向にあります。何らかの症状が出てしまったときには、すでに病気が進行していることも多く、そうしたことから少しでも早く病気を発見することが健康診断の第一の役割といえます。毎日の健康チェックに加え、化学的なデータやプロのチェックが加わることで、より発見に近づきます。

もうひとつ大事なのは、猫の健康時のデータを把握するためです。測定したデータが平常時とどう違うかが診断の決め手となるもの。たとえば、貧血かどうかの指標はHCT(ヘマトクリット値)ですが、参考基準値は32~45%です。血液検査をして32%であれば数値上は正常値ということになりますが、もし日頃42%だった猫が32%まで下がっていたとしたら、なんらかの原因で貧血が起こっているということです。こうした判断のためには、平常値を測定しておくことが大切なのです。また心臓や腎臓の大きさも健康なときに測定しておいたほうがよいでしょう。

健康診断は、猫が比較的若い8歳くらいまでは、1年に1回、8歳を越えたら半年に1回を目安に受けさせることをおすすめします。年齢によって病気のリスクは高まりますから、検査項目も必要に応じて追加して組み合わせていくのがよいでしょう。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitterでにゃんペディアをフォローしよう!

監修: 東京猫医療センター 服部幸
監修: 東京猫医療センター 服部幸
2003年、北里大学獣医学部卒業。
SyuSyu CAT Clinic院長、アメリカのテキサス州にある猫専門病院の研修プログラムを経て、2012年、東京猫医療センターを開院する。2013年には、アジアで2件目となるISFM(国際猫医学会)のゴールドレベルの認定を取得。
10年間にわたり、猫の専門医療に携わる。
トップへ戻る