猫はなぜ毛づくろい(グルーミング)をするのか?

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ふわふわとしたやわらかい毛は、猫ちゃんの魅力のひとつ。毛の流れに沿ってゆっくりなでているだけで、なんとも幸せな気持ちになってきませんか?そんな毛を猫ちゃん自身も大事にしていて、熱心に毛づくろい(グルーミング)をしてお手入れに余念がありません。
一方で、ひとたび猫ちゃんの体から離れた毛は、「抜け毛」となって部屋に舞い散ります。室内で飼っている以上、飼い主さんは「抜け毛」とおつきあいをしなくてはいけません。そこで必要となってくるのがブラッシングなのですが、じつはブラッシングは、抜け毛対策だけでなくさまざまな効用のある、とっても大切なケア。ブラッシングの重要性についてみていきましょう。

毛づくろいのふか~い意味は?

「うちの猫はいつも毛づくろいしてるんです」とはよく聞くこと。お宅の猫はどうですか? 一説では、一日の活動時間の三分の一を毛づくろいに費やしているといわれるほど、猫にとって大事な行為です。

生きるために必要なんです!

猫_舐める猫が毛づくろいをする目的は、ざらざらとした舌を使って古い体毛や体についた汚れを取り除き、毛の状態を整えて清潔を保つということにあります。狩りをする動物である猫は、体の匂いで獲物や敵に自分の存在を気づかれないよう、本能的に清潔にしているのですね。たいていの猫はこれを習慣的に日々おこなっているため、毛づやがよくなり、地肌の汚れがとれることでいやな体臭もしないのです。
さらに、毛づくろいには猫の体温調節の意味もあるといわれます。猫の祖先といわれるリビアヤマ猫は、寒暖の差の激しい砂漠出身ですが、この気候に対応するため、毛づくろいが役立ってきました。暑い日中は体をなめる唾液の水分が蒸発するときに発生する気化熱によって素早く体温を下げていたといわれています。

心が落ち着くんです

物理的な要因もさることながら、毛づくろいという行為自体に、猫の心のバランスをとる働きもあるといわれています。猫は、照れ隠し、気晴らしなど、何か気持ちをリセットしたいという状況になったときに毛づくろいをします。たとえば、フーッとうなりあっていたオス同士が、けんかの途中でいきなり毛づくろいを始めることがあります。これは「転位行動」と呼ばれており、不安や恐怖などの強いストレスを一見無関係な行動で発散させていると考えられます。その「転位行動」がなぜ毛づくろいなのかというと、自分の体をなめることで気分を落ち着かせることができるようなのです。
それには子猫時代の記憶も関係しているのでしょう。生後1か月くらいまでの子猫は自分で毛づくろいができないので、母猫が代わりに舌でなめてあげます。母猫のざらざらした舌でなめまわすことでマッサージ効果もあり、子猫はなめてもらうことで気持ちよくなって寝てしまいます。こうした記憶が影響して、毛づくろいが気持ちのよさ、リラックスにつながっていると認識しているようです。


このように猫自身による毛づくろいは、猫が生きていく上で大きな役割を果たし、結果として猫が自ら清潔さを保っている秘訣となっています。
ここでブラッシングケアをプラスすることは、どんな効用があるのでしょうか?

ブラッシングでできることは?

抜け毛問題を解決する

抜け毛―それは猫を室内で飼うことの宿命のようなもの。短毛種であろうと、長毛種であろうと、猫の毛が抜けるということには変わりありません。抜け毛は新陳代謝によるもので、日々大量に抜け、生え変わっています。スフィンクスという無毛種をのぞいて、抜け毛と無縁の猫はいません。
猫の毛は細くてやわらかいため、抜けるとふわふわ浮遊していろいろなところに入り込みます。ちょっと気を抜いていると、部屋中に猫の毛が飛び散っているということになりかねません。とくに小さいお子さんのいるおうちは、衛生的にも問題になりますから、抜け毛をいかに減らすかということを考えなくてはいけませんね。春と秋の喚毛期はさらに抜け毛が増えるので、対策が必要です。
少しでも猫の抜け毛を減らすのに有効なのが、まさにブラッシングなのです。

おなかに毛玉がたまる?「毛球症」対策に

猫の毛づくろいによって起きてしまう問題のひとつが「毛球症」です。猫は体をなめているうちに抜けた毛を知らず飲み込んでいます。一日に何度も毛づくろいをすることもあるので、猫によっては飲み込む量は相当なものになってしまいます。これを放っておくと、おなかに毛が蓄積して毛玉になってしまうことも。通常は猫自身が毛玉を吐いたり、便と一緒に毛玉を排泄しているのですが、胃や腸の中で毛玉が大きくなりすぎると、体から出すことができなくなる状態になり、食欲不振、便秘などの症状が見られるようになります。これが「毛球症」です。重症になると、開腹手術によって固まった毛玉を取り出さなくてはいけないということもあります。猫が飲み込んでしまう毛の量を減らしてやること、これが最大の予防法です。とくに長毛種は絡まった毛を飲み込むことが増えるので、ブラッシングで抜け毛を取り除いてあげる必要があります。
同時に毛づくろいのしすぎも危険信号です。ストレスがたまっている猫の場合、ストレス解消のための「転位行動」としての毛づくろいをしすぎることがあります。そうすると下半身や前肢がつるつるになってしまうくらいなめてしまうことも。こちらも注意してあげてください。

お手入れ不足のところだってあるから

catshaggyいかに柔軟な猫の体といえども、舌が届きにくい部位もあります。首、顔のまわり、しっぽなどです。とくに短頭種の猫は、舌が届かず顔まわりをうまくなめられません。また年を取った猫は毛づくろいをしなくなり、汚れもたまりやすくなってきます。毛づくろいがゆき届かないところは飼い主さんのブラッシングで補ってあげてほしいのです。

大事なスキンシップタイムが病気の発見につながる

ブラッシングでは、飼い主さんが猫の体全体をさわるので、猫とスキンシップするよい機会になります。ブラッシングの際に軽い刺激で毛流れに沿ってとかすことで血行促進が期待できますし、リラックスの効果で免疫力がアップするともいわれています。
またブラッシング中に、一部分だけごっそり毛が塊で抜けてしまった、ノミがいた、皮膚の調子が悪い、などさまざまなことに気づけるはずです。そのことで脱毛症、寄生虫の発見、皮膚病を早めに発見することもできます。とくに、体表にできたできものが発見された場合は注意。猫のできものは悪性腫瘍であることも多いので、すぐに受診をしましょう。このように、ブラッシングすることは、体の異常の早期発見につながるというメリットがあるのです。

ブラッシングが猫の健康のためにも必要なケアだということがよくわかりますね。
短毛種なら週に1~2回、長毛種なら毎日ブラッシングしてあげるのが理想的です。春と秋の喚毛期はとくに抜け毛が増えるので、いずれの場合も毎日ブラッシングしてあげましょう。

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監修: 東京猫医療センター 服部幸
監修: 東京猫医療センター 服部幸
2003年、北里大学獣医学部卒業。
SyuSyu CAT Clinic院長、アメリカのテキサス州にある猫専門病院の研修プログラムを経て、2012年、東京猫医療センターを開院する。2013年には、アジアで2件目となるISFM(国際猫医学会)のゴールドレベルの認定を取得。
10年間にわたり、猫の専門医療に携わる。
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