猫が迷子になったら その5~実例編~

ダミーチラシ

愛する飼い猫が迷子になっちゃったら、飼い主は平常心ではいられません。

どうやって探したらいいの? 探し方のコツは?

イザというときに役立つアドバイスを、日本動物探偵社の鈴木美佐男さんからいただきました。

日本動物探偵社・鈴木美佐男        

鈴木美佐男氏

鈴木美佐男氏

1985年から30年以上、迷いペットの捜索に携わる。

行政からの依頼にも対応し、雑誌や新聞、テレビの取材も数多く受けている。

犬、ウサギ、フェレット、鳥、亀などあらゆるペットの捜索をするが、

特に猫の捜索を得意とする。

マンガ『探偵ブル』の主人公・犬井のモデルでもある。

http://www.pet-tantei.info/

その1の記事はコチラ⇒猫が迷子になったら その1~導入編~
その2の記事はコチラ⇒猫が迷子になったら その2~捜索チラシ編~
その3の記事はコチラ⇒猫が迷子になったら その3~実働編~
その4の記事はコチラ⇒猫が迷子になったら その4~ペット探偵出動!編~

1. マンション猫こんぶちゃんの場合

こんぶ

マンションの5階に暮らすこんぶちゃん(♀)。子猫の頃にSさん家に引き取られて以来、一度も外へは出たことがありません。たまに通院で外に連れ出すと恐怖で固まっているような子です。

そんなこんぶちゃんが「いない」ことに気づいたのは、夜の8時過ぎ。ごはんの時間になっても現れないことに気づき、家じゅうを捜索しましたが見つかりません。その30分ほど前、洗濯物を取り込むためにベランダの窓を開けていたのですが、どうやらそのときに足元からすり抜けてしまったようだと気づきます。

Sさんが住むマンションは、各部屋のベランダがつながっています。ほかのお宅のベランダに行ってしまったのではと思ったSさんは、同じ階のおうちの方々に事情を説明し、それぞれベランダを見てもらうことに。しかしどの方も「うちにはいない」との返事。時間は21時を過ぎていました。

Sさんはベランダにキャットフードを用意。においの強い缶詰やカツオブシ、こんぶちゃんのにおいのついたトイレ砂などを、両隣のお宅のベランダの境目に置きました。においでこんぶちゃんを誘い出す作戦です。
「こんぶ!」と名前を呼ぶと遠くのほうで小さく「ニャン」と聞こえる気がするも、幻聴のように小さな声。場所を特定することはとうていできません。ベランダから転落した可能性も考え、マンション下の植え込みも探しますが見つかりません。

そうして2日が経過。捜索チラシを同じ階の方に配布します。不在のお宅以外は、事情を説明しながらの手渡しです。

Sさんが自分で作った捜索チラシ

Sさんが自分で作った捜索チラシ

その日、同じ階の住人から、「隣のベランダへ歩いて行ったような猫の足跡がある」という情報が。その方のご厚意でベランダに入れていただき、「こんぶ!」と呼ぶと、「ニャン」と返事が聞こえたのです!
声が聞こえた隣の部屋の方に探していただくと、ようやくこんぶちゃんを発見。なんと、ベランダに置いてあった古い絨毯(巻いた状態)の中に挟まるようにして隠れていたそう。丸二日飲まず食わずだったこんぶちゃん、無事保護されました。

こんぶちゃんが発見された場所は、初日に住人の方もチェックしていました。しかし、まさかそんな狭い居場所にいるとは思えない場所だったので、細かいところまでは見ていなかったのです。
「まさかと思うような狭い場所にも、猫は隠れる」という、よい例ですね。

2.旅先で行方不明になったてんちゃんの場合

てんちゃん

望月さん家のてんちゃん(♂)のケースは本当に壮絶です。
まず、いなくなったのが旅先のサービスエリア。猫も人も土地勘がなく、捜索難易度が最も高いケースです。

望月さん家ではてんちゃんにハーネスをつけて旅行に行くのが日常で、その日も車で旅先から帰宅。途中で立ち寄ったサービスエリアで、てんちゃんに外の空気を吸わせようと外に出したとき、不意に起こった大きな物音にびっくりしてハーネスをすり抜け、あっという間に逃げてしまったそう。

途方にくれる望月さん夫婦さん。しかし、その後のお二人の行動がすごいです。
片道2時間かかるそのSAに、毎日どちらか一人が行って捜索。
チラシ配りはもちろん、周辺住人への聞き込み、捕獲器の設置、新聞折り込みのチラシ依頼等々……。「できることはすべてやった」といえる捜索です。
新聞折り込みのチラシで望月さんの本気を感じた住人の方が協力を申し出ます。そして、その方の情報がきっかけとなっててんちゃんを発見!

てんちゃんの捜索チラシ。特徴がよくわかります。

てんちゃんの捜索チラシ。特徴がよくわかります。

しかし、その時点で約1か月野良猫生活をしていたてんちゃんは、望月さんに近寄ろうとせず、逃げてしまいます。このときの望月さんの心境は、察するに余りあります。

望月さんから逃げるてんちゃん。ショックすぎる!!

望月さんから逃げるてんちゃん。ショックすぎる!!

てんちゃんを発見してからも約1か月、望月さんは通い続け、少しずつてんちゃんの心を解いていきます。そして失踪から55日目、やっとてんちゃんを捕獲! いまは、自宅で幸せに暮らしています。

てんちゃんの捜索記録は、下記のブログで読むことができます。55日は、長いです。その間に訪れる落ち込みや悲しみなどが痛いほど伝わってきます。

「猫はブログを書かない~迷子猫探し55日間で向き合ったあれこれ」

長期にわたる捜索は、途中でくじけそうになったり、心無い人からの発言で心が折れることもしばしば。同じように猫を探した人の経験から、励まされることもあるのではないでしょうか。

ペット探偵に依頼して見つけ出した例も

上記の2つは自力で探し出した例ですが、もちろんペット探偵に依頼した例もあります。
ペット探偵に依頼したことで、一人きりで悩まず心理的に楽になれた、途方に暮れてどうしたらいいかわからないところに指針をもらえた……などの声も。
専門家に依頼するかしないかは飼い主さん次第ですが、イザというときにどこに頼むか迷わないよう、下調べをしておくとよいでしょう。動揺しているときだと、詐欺まがいの業者をつかんでしまうこともありえます。

見つけたら、事後処理を

猫

無事、愛猫が見つかったら、そこで終わりではありません。
愛猫に怪我などがないか、動物病院で診てもらいましょう。感染症の検査も新たにしたほうがよいでしょう。

また、あちこちに貼った捜索チラシをはがすのも飼い主の義務! 忘れずに行いましょう。

ご近所の方に協力してもらったなら、報告も必要。近隣の方と円滑なコミュニケーションをとることも、飼い主の務めです。すべての愛猫家・愛犬家のために、きちんとご報告をしましょう。

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日本動物科学研究所所属・編集者&ライター 富田園子
日本動物科学研究所所属・編集者&ライター 富田園子
幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。
猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。
哺乳類動物学者の今泉忠明氏に師事。
現在は5匹の猫と暮らす。
編集・執筆を行った本に『マンガでわかる猫のきもち』『幸せな文鳥の育て方』(大泉書店)、『フレブル式生活のオキテ』『シュナ式生活のオキテ』(誠文堂新光社)、編集を担当した本に『猫とさいごの日まで幸せに暮らす本』(大泉書店)などがある。5匹の猫と暮らす愛猫家。
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